グッディング・オークションで、フェラーリの高額落札が連発。最高額は8億円越え。他のオークションハウスが値頃なモデル中心にシフトとするなか、選りすぐりの品を用意して意地を見せつけました。

text：Kazuhide Ueno（上野和秀）　photo：GOODING COMPANY

最高額はフェラーリ 250GT SWB

アメリカを本拠にするオークションハウスがグッディング&カンパニーだ。同社は1年間にスコッツデイル、アメリアアイランド、ペブルビーチというアメリカ国内で3つのオークションのみを開催し、じっくりと準備するだけに大手オークションハウス以上のレア車を用意することで知られている。

今回のスコッツデイル・オークションでもまさに極め付けといえる珠玉のモデルを中心に124台が用意され、2日に分けて行われた。マニア好みのコレクターズカーが幅広く用意され、フェラーリは212 エウローパ・カブリオレから250MM、250GT TdF、250GT SWB、275GTB プロトタイプなどを含む28台！　とピーク時思わせる豪華な陣容となった。このほか最近のトレンドとなったポルシェは23台が並んだ。

事前の予想落札額で100万ドル（1億1000万円）を超える車両が15台、最終的に1億円超えで落札されたのが11台という結果からも内容の凄さが分かろう。他のオークションハウスが現実的な額のモデルを中心に展開していたこともあり、ことさらグッディングの内容の凄さが際立った。

オークションを終えてみるとトップ10の内6台がフェラーリ、それも1〜6番手まで独占。ここにメルセデス・ベンツ 300SLにシェルビー289と427コブラが加わるというバブリーな顔触れとなった。トップ10を記すと、

1963年フェラーリ 250GT SWB（8億3545万円）
1958年フェラーリ 250GT TdF（6億4790万円）
1953年フェラーリ 250MM スパイダー・シリーズ II（5億9345万円）
1985年フェラーリ 288GTO（2億7583万円）
1952年フェラーリ 212 エウローパ・カブリオレ（2億1230万円）
1963年フェラーリ 250GT ルッソ（2億928万円）
1955年メルセデス・ベンツ 300SL ガルウイング（1億5785万円）
1966年シェルビー 427 コブラ（1億2650万円）
1964年シェルビー 289 コブラ（1億1550万円）
1957年メルセデス・ベンツ 300SL ロードスター（1億1066万円）

という結果に。このあとも289コブラ、ブガッティ・タイプ 57、メルセデス・ベンツ 300 Sc、ブガッティ EB110 GT、フェラーリ 330GTCが続き、最近の低調な空気を吹き飛ばした。

ポルシェ、アメリカ車は好調

ここにきてオークションの主役となったポルシェは23台が用意された。356から901-991までの幅広いレンジと、買い易い額のモデルが用意されたこともあり23台中約91%となる21台が落札される好調ぶりだった。ここで流れてしまった1956年ポルシェ 356A スピードスターは、最近値下がり傾向にあるスピードスター界で以前の額で最低落札額を設定したため入札が続かなかった。もう1台の流れた物件は2011年997 GT2 RSで、こちらは物件が多いことに加え高価だったため落札に至らなかった。

全般的に価格は落ち着いてきており912は567万円と以前の額に戻り、911初期型（901）も2000万円台半ばまで下がり、ナロー系も落ち着きを取り戻しつつある。

全米からファンが集まるスコッツデイルでのオークションだけに、アメリカ車も戦前のパッカードやキャデラックからマッスル、フォードGTまでが並びほとんどが落札されていた。そのうち1970年フォード・マスタング・ボス 302 トランザム・コンペティションは、最後にカー・クラフトで製作された当初からのコンペティションモデルで、バド・ムーア用に製作された由緒正しい1台である。オークションではこの種のモデルに興味を持つビッダーが少なかったようで986万円で終えてしまった。

グッディング・スコッツデイル・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。