ポルシェ911 詳細データテスト 良好な乗り心地 使い切れる適度なパフォーマンス 絶望的な遮音性

公開 : 2024.02.10 20:25  更新 : 2024.02.16 04:12

内装 ★★★★★★★★☆☆

このダカールで、ポルシェがもっと大胆になってもよかったのではないか、と多くのテスターが思ったのがインテリアだ。結局はオプション込みでも20万ポンド(約3720万円)の限定車なのだ。アルカンターラ的なポルシェが好むテクスチャーのレーステックスを多用して特別さを演出し、カーボンシェルのバケットシートや、オプションのガッシリしたハーフケージで本気ぶりを示してはいるが、しょせんは正真正銘のラリーレイドスペシャルだと思わせてくれる部分がほとんどないのだ。

とはいえ、992世代の911らしく、基礎はしっかりしている。エクステリアはゴツい見た目だが。アスレティックなドライビングポジションはGT3のそれと大きくは変わらない。スイッチ類の動きは総じて歯切れ良く、プラスティック類は高価そうで、スムースレザーやレーステックスとのコンビネーションで高級感も十分。外観がダサく思えても、室内は贅沢な感じがする。小物類の収納スペースは多く、視認性はすばらしい。

992世代の美点と、スウェード調素材やスムースレザーによる高級感はあるが、それは同時に、造形や使い勝手からは、これが特別仕立ての911に過ぎないこともよくわかる。
992世代の美点と、スウェード調素材やスムースレザーによる高級感はあるが、それは同時に、造形や使い勝手からは、これが特別仕立ての911に過ぎないこともよくわかる。    JACK HARRISON

ラリースポーツパッケージをオーダーしようというなら、注意点がある。ダカールは現行911の中でもとりわけ多用途性や使い勝手に優れたモデルだが、ロールケージが実用性を損ねるのだ。たとえリアシートレスオプションを選んでも、キャビン後方のラゲッジスペースとして使えるのに、それが犠牲になってしまう。132Lのフロントトランクがあっても、荷物は積めるだけ積めるほうが便利だ。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ポルシェ 911の人気画像