スマート#3 詳細データテスト クラス水準以上の動力性能 優れた基本設計 物足りない細部の仕上げ

公開 : 2024.05.25 20:25

結論 ★★★★★★★☆☆☆

もしスマート#3がコンパクトEVの水準に適合もしくは超越しているかをリスト化して、逆に欠けているもののリストと付き合わせたら、一方が得られそうなよりよい評価を、どうしたらもう一方が邪魔できるのかと考えることになるだろう。これはディテールの仕上げが、出来のいい基本的な資質を損ねているケースだ。

それでも、その細かい欠点が集まってクルマの魅力を鈍らせているのだから、ひとつひとつが小さくても看過できない。驚くほど広く、公道上で見せる動力性能は強力で、効率がよく、見栄えはこぎれいだ。

結論:興味深く斬新なEVとなりうる素養の持ち主だが、細部の甘さが減点要素だ。
結論:興味深く斬新なEVとなりうる素養の持ち主だが、細部の甘さが減点要素だ。    JACK HARRISON

しかし、注目すべき点のいくつかで、仕上げに洗練不足が否めない。乗り心地やハンドリング、クルージングの上質さ、走行支援のチューニング、マルチメディアのデザインとレイアウトといった点だ。OTAアップデートで改善可能なものもあるが、すべてがそれで直るわけではない。

長年のスマートのファンがもっともガッカリしそうなのは、デザインがあまりにも普通で、ほとんどリスクを冒していないことだ。もっと大胆で斬新なモデルは今後出てくるのかもしれないが、それまでスマートブランドが再出発したと、どれだけのユーザーが本当に気付いているのか、そしていつスマート自身がそれを大々的に宣伝するのか、疑問に思い続けることとなりそうだ。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート

ありがたいことにスマートは、ドライバーの視界からメーター類を排除し、鷹のようにドライバーを見張るモニタリングシステムを導入しようとはしなかった。それでも、ADASを素早くオフにできる手段はほしい。

マット・ソーンダース

インフォテインメントディスプレイに表示されるデジタル調のチーターのキャラクターに使い道は見出せなかったが、11歳の娘はお気に召したようだ。娘が操作できれば、もっといろいろな反応をしてくれたことだろう。

オプション追加のアドバイス

プロ+は、おすすめできる仕様のひとつだが、寒冷時の航続距離を重視するなら、ヒートポンプが備わるプレミアムを選びたい。フューチャーグリーンやクオンタムブルーといった明るいボディカラーも悪くない。

改善してほしいポイント

・ADASの操作メニューに素早くアクセスできるようにしてほしい。
・スタビリティコントロールの効きはもっと控えめに。さもなければオフにできるといいのだが。
・フロントシートのヘッドレストは、高さ調整をできるほうがいい。
・エクステリアはもっと大胆でキャラの立ったものになるといい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事