結局「コスパ1番」のEVは? ボルボと内側を共有:スマート#1 オーナーを満たす:ヴォグゾール(オペル)・アストラ お手頃EV 12台比較(1)

公開 : 2024.04.15 19:05

2024年の英国で売られているEVで、コスパ1番といえる1台とは? 4万ポンド(約756万円)以下の条件で12台を選出 中国の新興メーカーも交え、英国編集部が一挙試乗

2024年のベスト・コスパなバッテリーEVは?

ゼロエミッション化は避けられない。反面、最近の欧州ではバッテリーEVの販売が鈍化気味。市場へのお手頃な実用モデルの投入が、今後数年間における自動車メーカーの使命になりそうだ。

一般ユーザーにとっては朗報といえる。コストパフォーマンスへの意識は強まり、競争は厳しさを増している。技術開発は進展し、従来以上の性能を有するバッテリーEVが次々と登場している。今後も、その流れは変わらないだろう。

2024年のベスト・コストパフォーマンス・バッテリーEV ノミネート車両12台
2024年のベスト・コストパフォーマンス・バッテリーEV ノミネート車両12台

では、2024年のベスト・コストパフォーマンスといえるモデルはどれなのか。大切な予算を投じるうえで、最も相応しい1台とは? 2023年から状況は変わっただろうか。

そこで今回は、英国価格を4万ポンド(約756万円)以下に設定。現在の選択肢の中から、1番を選考することにした。

この金額は、残価設定型プランを組んだ場合、一般的に1週間当たりの支払いが100ポンド(約1万9000円)前後になるお値段。英国では、現実的なバッテリーEVへの負担額といえる。

4万ポンド以下の20車種から12台を選出

2024年の英国では、4万ポンド(約756万円)を用意すれば、20車種のバッテリーEVを選べる。その中から、英国編集部の評価が高い12台を選りすぐった。2022年だったら、10台も揃えることは難しかったはず。

定評ある欧州ブランドだけでなく、中国の新興メーカーも含まれている。韓国や北米のメーカーも。デジタル技術を強みにしたモデルから、実用性自慢や、際立つ動力性能を備えたモデルまで、特徴も幅広い。

2024年のベスト・コストパフォーマンス・バッテリーEVを選ぶ英国編集部の審査員
2024年のベスト・コストパフォーマンス・バッテリーEVを選ぶ英国編集部の審査員

ノミネートしたブランドを挙げると、BYDクプラヒョンデジープキア、MG、ルノースマートテスラヴォグゾールフォルクスワーゲンボルボというラインナップ。AUTOCAR英国編集部の6名がそれぞれ採点し、順位を決めた。

例によって、運転の楽しさも重要な評価軸となっている。それでは早速、2024年のベスト・コスパEVを、12位から確認していこう。

12位:スマート#1 内側を共有するEX30と違う特性

バッテリーEVの場合、ボンネットやフロントバンパーの内側を覗き込んでも、さほど面白いものは見えない。内燃エンジンなら、機械的な構造や特徴を観察できるのだが。

それでもスマート#1の内側を覗けば、ボルボEX30と強い関係性を持つ、ボディフレームやシャシー構造、ボックスセクションのクラッシュゾーンなどを確認できる。基本的に、内側は共有している。

スマート#1 プレミアム(英国仕様)
スマート#1 プレミアム(英国仕様)

反面、まったく異なる特性を備える事実が興味深い。EX30の見た目はシャープなSUV風だが、#1は丸みを帯びて女性的。全高は#1の方が遥かに高く、シルクハットを被ったまま運転席へ座れるほど、車内空間にもゆとりがある。

最新モデルは、ミニマリスティックな従来のスマート・ブランドの精神とも距離をおいた。0.8Lディーゼルエンジンを積んだスマート・フォーツーは、エネルギー効率を最大化するため、小さなボディで前面面積と車重を抑えていた。

インテリアも機能的で、個性的でもケバケバしくはなかった。しかし、メルセデス・ベンツジーリー・ホールディングスとの合弁事業から生まれた#1は違う。

ダッシュボード中央のタッチモニターには、キツネのアシスタント・アバターがアニメーションで描き出される。メニュー構造は少々複雑で、シンプルという言葉は適用できない。

ステアリングホイールには、実際に押せるボタンが並ぶ。その奥にはメーター用モニターがあり、情報は見やすいのだが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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