フォルクスワーゲン・ティグアン 詳細データテスト おすすめは実用グレード デジタル化はほどほどに

公開 : 2024.06.02 20:25

走り ★★★★★★☆☆☆☆

見当違いなのかもしれないが、2024年の英国市場においてディーゼルはややダーティなイメージが拭えずにいる。ティグアンのようなSUVに関しては、そうあるべきではないとわれわれは考える。そして幸いにも、フォルクスワーゲンはディーゼルをラインナップから外さなかった。

それでも、多くのユーザーはガソリンのマイルドハイブリッドを選ぶだろう。ディーゼル並みの推進力やトルク、そして経済性を、社会的な要求に応えつつ得られると期待されるからだ。

日常使いでは大きな不足を感じないパワートレインだが、負荷が大きいときのなめらかさや、絶対的な動力性能では物足りないところがある。
日常使いでは大きな不足を感じないパワートレインだが、負荷が大きいときのなめらかさや、絶対的な動力性能では物足りないところがある。    MAX EDLESTON

少なくとも、ティグアンのeTSI 150のパワープラントについては、そうした折衷をある程度満たしてくれる。それでも、そこそこ大きく、万能性が求められ、ハードに使われるファミリーカーには、ディーゼルのほうが合っているように感じられる。

この問題をカバーするべく、7速DCTの低めのギアは、とくに低めのレシオとされているが、それでもすぐに使えるトルクは不足気味だ。そのため、動力性能の数値もパッとしないものとなっている。0−97km/hは9.4秒、48−113km/hは9.2秒。まずまずではあるが、4気筒ディーゼルのメルセデスGLB220dやハイブリッドのキア・スポーテージはそれより2秒ほど速い。

日常的な普通のドライビングでは、パワートレインは満足できる。市街地でも郊外でも十分速く、高速道路でもティグアンの重量をしっかり引っ張ってくれる。ただし、ちょっとばかり無理をしている感じは否めないが。強めに加速するには回転を上げる必要がある感じで、その回り方に特別エンスー心をくすぐるようなものはない。

欠けているのは、積載量が多いときや牽引時に必要な固定ギアでの強い余力で、万能性のあるファミリー向けSUVに求められるであろうものだ。それでも、通勤や通学、ショッピングに使うのが主であれば、たいした欠如とはならないはずだ。

いっぽうでギアボックスは、負荷の小さい日常使いで自動変速任せにしているとスムース。しかし、パドル変速ではダウンシフトがややスローで気乗りしない感じだ。また、低速での取り回し時には、必ずしも断続がなめらかではない。フォルクスワーゲンのDSGとしては、十分に洗練されているとは言い難い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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