メルセデスAMG GT 詳細データテスト 高まった安定性 神経質さの残るハンドリング 低い静粛性

公開 : 2024.08.24 20:25

新プラットフォームで4WD化された新型GTは、先代よりたやすく速さを味わえるクルマです。それでもハンドリングには過敏さが残り、静粛性は低く、ピュアスポーツとしても高級GTカーとしてもツメの甘い結果となりました。

はじめに

ある意味、メルセデスAMGの2代目GTは存在するだけで拍手を送りたいクルマだ。上級スポーツカークラスは、ビジネス的には常にチャレンジだった。その理由のひとつが、このクラスではポルシェ911の人気が絶大すぎることだ。

また、最近になって本格パフォーマンスクーペが減ってきたことには、ほかにもより広い範囲に当てはまる理由がある。しかし、結局行き着くところは同じだ。選択肢の少なさである。ジャガーFタイプアウディR8はリタイヤし、レクサスはLCの英国での販売を終了した。そのどれも、今のところ後継モデルの情報はない。

テスト車:メルセデスAMG GT63 4マチック+プレミアムプラス
テスト車:メルセデスAMG GT63 4マチック+プレミアムプラス    JACK HARRISON

AMGがロングノーズに出し惜しみのないエンジンを積んだフラッグシップをフルモデルチェンジしたことは、おおいに歓迎すべきだ。たとえ価格が劇的に上がり、911に対抗すべく融通を効かせようとして初代の味を薄めてしまったとしても。

詳しくはこれから見ていくが、新たなレイアウトは奔放な初代GTにはなかったリアシートとフロントのドライブシャフトが加わった。それはプラスにもマイナスにもなりうる。

本当に知りたいのは、AMGが先代のエネルギッシュさと活発さをどうにか残しつつ、ヤンチャさを手懐け、よりGTカーらしい魅力的な長距離走行を手に入れようとしたのか、ということ。綱渡りのように微妙なバランスだが、もしも実現できれば、われわれをノックアウトするようなクルマが出来上がるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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