5m超えの高価なステーションワゴン BMW i5 ツーリング 長期テスト(1) 普段使いでの印象は?

公開 : 2025.01.18 09:45

BMWを支えてきたステーションワゴンがEVに 英国価格は約2000万円 総合600psを発揮するM60 xドライブの能力は? 最新世代の5シリーズ・ツーリングを長期テストで検証

初回 5m超えの高価なステーションワゴン

新しいBMW i5 M60 xドライブ・ツーリングの英国価格は、9万9995ポンド(約1950万円)から。ランドローバーディフェンダー 130とほぼ同じ。なぜこんなに高価なモデルが堅調に売れているのか、筆者には理解し難い。

英国では一般的な、勤務先からの貸与車両として乗る人も少なくないだろう。ただし、この2台は大きく異なる所有体験を生むはず。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

3.0Lディーゼルエンジンを積んだディフェンダーの場合、現物給付税率は37%。約3万7000ポンド(約722万円)もの税金が課せられる。社員が実際に支払う金額は、それよりだいぶ少ないとしても。

他方、バッテリーEVは優遇されており、i5 ツーリングの税率は2%。何かの間違いではないのかと、制度を確認したくなるほど差は大きい。企業が社員のために選ぶモデルの主流が、バッテリーEVやプラグイン・ハイブリッドになることもうなずける。

とにかく、オプション抜きでほぼ10万ポンド(約1950万円)のBMWともなれば、相当なハードウエアを得られる。サイズは巨大で、全長が5060mm、全幅は1900mmがうたわれる。ステーションワゴンとはいえ、車重は2425kgと軽くない。

ホイールベースだけでも2995mmある。最新の7シリーズと、多くのアーキテクチャを共有するだけのことはある。

システム総合で600ps 0-100km/h加速は3.9秒

長期テスト車として届けられたのは、英国の最上級仕様となるM60 xドライブ。ツインモーターの四輪駆動で、システム総合の最高出力は600psあり、0-100km/h加速を3.9秒でこなす。マイタンブラーを持ち込むなら、密閉できるものが良い。

駆動用バッテリーは81.2kWh。同じバッテリーを積むシングルモーターのi5より電費は良くなく、5.3km/kWhが主張される。航続距離も短く、WLTP値で498kmとなる。急速充電は最大205kW。今のところ、そこまで長い距離は走れていないが。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリングと筆者、マット・プライヤー
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリングと筆者、マット・プライヤー

装備に不満はなし。ボディカラーは、1095ポンド(約21万4000円)の追加費用が必要な、タンザナイト・ブルー。Mスポーツ・プロ・パッケージも装備され、ブレーキがアップグレードされている。

減衰力を調整できるMアダプティブ・サスペンション・プロは、4000ポンド(約78万円)。ヘッドアップ・ディスプレイと運転支援システムが実装される、テクノロジープラス・パッケージは3300ポンド(約64万4000円)。どちらも、なかなかのお値段だ。

コンフォートプラス・パッケージは、3350ポンド(約65万3000円)。前後のシートヒーターに、前側のベンチレーション機能、熱線入りステアリングホイールなどを得られる。バウワース&ウィルキンス社製のオーディオも載っている。

かくして、長期テスト車のお値段は総額11万6060ポンド(約2263万円)。シルバーの飾りが付く豪華な内装や、20インチ・ホイールは標準装備だから、これらのオプションがなくても寂しい気持ちにはならないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト BMW i5 ツーリングの前後関係

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