パワー上昇で新たな喜び? ミニ・クーパー 長期テスト(3) 3ドアのCから5ドアのSへ交換

公開 : 2025.04.06 09:45

先代の基礎骨格を土台に、車名も新たに新世代へ一新したミニ・クーパー オシャレでプレミアムな小型ハッチバックの訴求力は? エンジン仕様の日常との親和性は? 英編集部が深掘り

積算3452km センターピラー付近の異音

運転席側のセンターピラー辺りから、走行中にミシミシと擦れるノイズが聞こえていた。自宅の近所にはアスファルトの荒れた区間が少なくなく、症状は徐々に悪化。最近は、通勤時の気持ちへ影響が及ぶほどうるさくなっていた。

BMWミニの本社へ持ち込むと、ウインドウ周りのシールが緩んでいたことが判明。短時間で治り、走行中に聞こえるのはエンジンの落ち着いた響きだけに。再び、気持ち良く運転できそうだ。

ミニ・クーパー C クラシック3ドアと筆者、フェリックス・ペイジ
ミニ・クーパー C クラシック3ドアと筆者、フェリックス・ペイジ

積算4314km イエローの3ドアからグレーの5ドアへ入替え

サニーサイド・イエローのミニ・クーパー Cは、レジェンド・グレーのクーパー Sへ交換となった。ボディも、3ドアから5ドアへ変更されている。

お別れは少し寂しかった。しかし、内容的にトップグレードのミニへ乗り換えるのだから、うれしくないというのは嘘になる。装備が充実するだけでなく、最高出力は203ps、英国価格は3万4500ポンド(約673万円)と数割増し。速さも数段上だろう。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

ただし誤解しないで欲しいのは、クーパー Cも魅力的なミニだったこと。最近運転したニューモデルの中で、最も楽しい時間を過ごせたといっても、過言ではない。

そもそも、バッテリーEVではない小さなハッチバックは、絶滅危惧種の1つ。どうしても特別な気持ちを抱いてしまうが、それを抜きにしても、完成度が高く普段使いしやすいクルマだった。

古さを感じるような部分は殆どナシ

新しいF66型のクーパーを、BMWミニは4代目と呼んでいるが、筆者は正しい表現ではないように思う。バッテリーEV版のクーパー Eは、まったく新しいプラットフォームを基礎骨格にしており、新世代なことは間違いない。工場も中国にある。

だが、エンジン版のクーパー Cのプラットフォームは、従来からのキャリーオーバー。見た目は電動版と同等に一新されているが、その内側の起源は2013年に遡る。3気筒ターボエンジンは、ハイブリッドのBMW i8でデビューしたユニットの進化版だ。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

冷間時の始動時や走行時に、エンジンが少しにぎやかなことは否定しない。高速道路では、しっかり燃焼音が聞こえてくる。それでも、サニーサイド・イエローのクーパー Cで、古さを感じるような部分は殆どなかった。

バッテリーEV版のエースマンやカントリーマンと同じくらい、走りはスムーズ。内外の新鮮味だってちゃんと濃い。

ミニマルでスタイリッシュなインテリアデザインと、円形のタッチモニターは、初めて乗せる人から毎回のように褒められた。ベルト風の飾りは別として、持続性に配慮すべく、余計な装飾などは基本的に備わらない。

デザイン次第では、殺伐とした内装にもなり得ただろう。しかし、同クラスの中で印象は最高水準。高級感すら漂わせる、開放的でモダンな雰囲気は、ライバルが羨むところではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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