小さなステーションワゴン並みに使える ミニ・クーパー 長期テスト(2) ブレーキにリコール

公開 : 2025.03.09 09:45

先代の基礎骨格を土台に、車名も新たに新世代へ一新したミニ・クーパー オシャレでプレミアムな小型ハッチバックの訴求力は? エンジン仕様の日常との親和性は? 英編集部が深掘り

積算3165km ブレーキ関係にリコール

新しいモデルには付きものといえる、リコールの連絡が届いた。ペダルの感触とフィードバックを制御する、ブレーキシステムに不具合が生じる可能性があるという。対象は、BMWグループが提供している合計150万台。かなりの広範囲に及ぶ。

もし故障すると、充分な制動力を得るのに、普段以上の力でブレーキペダルを踏む必要が生じるという。ブレーキの警告灯が点灯しないか、対策を受けるまでは注意して欲しいとのこと。今のところ、まったく不調は感取されていないが。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

積算3468km SUVやクロスオーバー人気は理解できる

筆者は、SUVやクロスオーバーに対して否定的ではない。充分な車内空間を備え、運転席から優れた視界を得られ、乗降性のしやすさを考えると、背の高いステーションワゴンのようなシルエットのクルマは理に叶っている。人気にもうなずける。

市街地での取り回しが更に良好だとしても、小さいモデルへサイズダウンしたいと思う人は少ないだろう。実用性は、大きくは変わらないとわかっていても。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

先週の日曜日も、例によって筆者は1週間ぶんの買い物に出かけた。向かった先の駐車場には、小さな区画が1つ空いていた。極端に狭く、殆どのクルマは選択肢から除外して通り過ぎていく。

隣に停まっていたクロスオーバーのフォード・クーガは、ここを選ぶ人はいないと想像したのか、少し白線からはみ出ていた。空き枠を探すクルマは多かったが、入り口から反対側にあったこともあり、筆者が来るまで誰も停めることはなかったらしい。

誰も見向きもしない駐車枠へ収まるミニ

しかし筆者は、ミニ・クーパーなら収まると、見た瞬間に理解した。ハザードを灯し、バックカメラの映像をモニターで確認しつつ、少し待たせることになる後続車両へ手を上げてご挨拶。ステアリングホイールを回し、クルマの向きを調整する。

緩やかにバックさせ、何度も切り返すことなく、ミニ・クーパーはその枠へ収まった。前後左右の余地は、10数cmといったところ。パーキングセンサーが、接触直前の最終警報を鳴らすこともなかった。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

筆者の滑らかな駐車へ、周囲にいた買い物客から拍手が贈られるかもしれないと、少しだけ期待した。花束を贈呈されたり、天井のスピーカーから祝福の音楽が流れることはないとしても。

実際は、拍手は聞こえなかった。助手席のパートナーは、自分から綺麗に停められたでしょ、と話しかけてから、ささやかに褒めてくれた。ドアを開いて降りるのに身体をよじる必要があり、テールゲートを開く余地はなかった。

ひと回り大きいクルマだったら、この枠に駐車できなかったことは間違いない。新しいミニ・クーパーは、オリジナルのモーリス・ミニ・マイナーより遥かに大きいが、先代から殆どサイズは違わない。BMWが買収した新生ミニから、僅かに成長しただけだ。

現代のモデルの中では、かなり小型な部類に入る。しかし、乗ってみると特に小さいとは感じられない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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