排気量4097ccでも98ps マーキュリー・モナークとフォード・グラナダ(1) パワーやスピードは罪

公開 : 2025.04.05 17:45

価格はゴルフ スタイリングはキャデラック

「価格はフォルクスワーゲン・ラビット(初代ゴルフ)と同じ。でも、スタイリングはキャデラックのよう」。広告には、こんなキャッチコピーが踊った。ホテルのエントランスで待つ駐車係が、実際にキャデラックと間違うことはあったのだろうか。

無作為に選出されたユーザーが、モナークはメルセデス・ベンツより静かで滑らかだと発言したことも、広告では利用された。最高出力は遥かに軽いラビットと同等でも、0-97km/h加速時間は遅いことへ、触れられることはなかったが。

マーキュリー・モナーク(1974〜1980年/北米仕様)
マーキュリー・モナーク(1974〜1980年/北米仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

オイルショック以降、北米のユーザーは確かにコンパクトカーへの関心を強めていた。フォードは、ゼネラルモーターズ(GM)ほど迅速に対応したわけではないが、ヨーロピアンなサルーンの潜在的な需要を発見することはできたといえる。

モナークとグラナダがベースとしたのは、1970年に発売されたフォード・マーベリック。その起源は、1960年のフォード・ファルコンへ遡った。

マーベリックXという開発コードが与えられ、フロアパンを改良。ほぼ同じ見た目で、廉価版はフォードから、上級版がマーキュリーからリリースされた。オペラウィンドウ・クーペと、ギア社による洒落たトリムパッケージも、両ブランドに設定された。

ベンチマークはW114型メルセデス・ベンツ

ホイールベースは2794mmで、全長は5080mm。小柄といっても、ボルボの上級サルーン、164や、後に7シリーズへ進化するE3型のBMW 2500/2800より大きかった。

とはいえ、グラナダのベースモデルの北米価格は4000ドル以下。競合に見られていた輸入モデルより、大幅に安かった。生産工場は、北米各地の4か所。マーベリックと、並行して作られている。

マーキュリー・モナーク(1974〜1980年/北米仕様)
マーキュリー・モナーク(1974〜1980年/北米仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

サスペンションは、フロントがウイッシュボーン式のコイルスプリングで、リアはリジッドアクスルのリーフスプリング。ラバーブッシュを多用し、フルサイズを想像させるしっとりした乗り心地を実現していた。

開発時にベンチマークとなったのは、W114型のメルセデス・ベンツ280E。スタイリングは、アメリカンな雰囲気にドイツ的な風合いをミックス。コピーライターは、フロントグリルを「ファイン」、テールライトを「ヨーロピアン・スタイル」と呼んだ。

インテリアは、アメリカン・フルサイズを意識。視覚的には確かにラグジュアリーで、高級車として受け止めるのには充分といえた。

最上級グレードに据えられたのが、ギア仕様。ナイロン素材のカシミア・クロスシートにピンストライプ、フェイクウッドのパネルやビニール製ボディトリムなどで、差別化が図られた。

オプションの選択肢は、多岐に渡った。レザーシートにエアコン、アルミホイールといった定番アイテムに加えて、油圧制御のアンチロックブレーキ付き4輪ディスクブレーキも選択できた。これは、パワーステアリング用のポンプが利用された。

この続きは、マーキュリー・モナークとフォード・グラナダ(2)にて。

記事に関わった人々

  • マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

マーキュリー・モナークとフォード・グラナダの前後関係

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