排気量4097ccでも98ps マーキュリー・モナークとフォード・グラナダ(1) パワーやスピードは罪
公開 : 2025.04.05 17:45
価格はゴルフ スタイリングはキャデラック
「価格はフォルクスワーゲン・ラビット(初代ゴルフ)と同じ。でも、スタイリングはキャデラックのよう」。広告には、こんなキャッチコピーが踊った。ホテルのエントランスで待つ駐車係が、実際にキャデラックと間違うことはあったのだろうか。
無作為に選出されたユーザーが、モナークはメルセデス・ベンツより静かで滑らかだと発言したことも、広告では利用された。最高出力は遥かに軽いラビットと同等でも、0-97km/h加速時間は遅いことへ、触れられることはなかったが。

オイルショック以降、北米のユーザーは確かにコンパクトカーへの関心を強めていた。フォードは、ゼネラルモーターズ(GM)ほど迅速に対応したわけではないが、ヨーロピアンなサルーンの潜在的な需要を発見することはできたといえる。
モナークとグラナダがベースとしたのは、1970年に発売されたフォード・マーベリック。その起源は、1960年のフォード・ファルコンへ遡った。
マーベリックXという開発コードが与えられ、フロアパンを改良。ほぼ同じ見た目で、廉価版はフォードから、上級版がマーキュリーからリリースされた。オペラウィンドウ・クーペと、ギア社による洒落たトリムパッケージも、両ブランドに設定された。
ベンチマークはW114型メルセデス・ベンツ
ホイールベースは2794mmで、全長は5080mm。小柄といっても、ボルボの上級サルーン、164や、後に7シリーズへ進化するE3型のBMW 2500/2800より大きかった。
とはいえ、グラナダのベースモデルの北米価格は4000ドル以下。競合に見られていた輸入モデルより、大幅に安かった。生産工場は、北米各地の4か所。マーベリックと、並行して作られている。

サスペンションは、フロントがウイッシュボーン式のコイルスプリングで、リアはリジッドアクスルのリーフスプリング。ラバーブッシュを多用し、フルサイズを想像させるしっとりした乗り心地を実現していた。
開発時にベンチマークとなったのは、W114型のメルセデス・ベンツ280E。スタイリングは、アメリカンな雰囲気にドイツ的な風合いをミックス。コピーライターは、フロントグリルを「ファイン」、テールライトを「ヨーロピアン・スタイル」と呼んだ。
インテリアは、アメリカン・フルサイズを意識。視覚的には確かにラグジュアリーで、高級車として受け止めるのには充分といえた。
最上級グレードに据えられたのが、ギア仕様。ナイロン素材のカシミア・クロスシートにピンストライプ、フェイクウッドのパネルやビニール製ボディトリムなどで、差別化が図られた。
オプションの選択肢は、多岐に渡った。レザーシートにエアコン、アルミホイールといった定番アイテムに加えて、油圧制御のアンチロックブレーキ付き4輪ディスクブレーキも選択できた。これは、パワーステアリング用のポンプが利用された。
この続きは、マーキュリー・モナークとフォード・グラナダ(2)にて。























































































































