スバル、欧州でハイパフォーマンスモデル推進 『STI』復活を示唆 電動化の利点活かす

公開 : 2025.04.17 14:05

スバルの欧州部門責任者は「スポーティ性を取り戻したい」として、高性能モデル導入への意欲を示しました。トヨタと共同で、排出ガス規制に縛られない電動スポーツカーを開発する可能性が浮上しています。

電動スポーツカートヨタと共同開発か

スバルは、将来のEVラインナップにハイパフォーマンスモデルを導入する計画で、インプレッサSTIやBRZのようなスポーツカーも新たに発売される可能性がある。

スバルは1990年代初頭、ラリー仕様の高性能マシンで熱狂的なファンを獲得し、2012年にはトヨタ86の兄弟車であるBRZを発売して成功を収めている。

欧州市場では排出ガス規制によりスポーツカーの販売が制限されている。
欧州市場では排出ガス規制によりスポーツカーの販売が制限されている。

近年、同社はSUVに注力しており、また排出ガス規制のため、欧州市場からはすべてのパフォーマンスモデルを撤退させている。

しかし、ニューヨーク・モーターショーにおける新型EV『トレイルシーカー』の発表の場で、スバル欧州部門責任者のデビッド・デロ・ストリット氏は、「スバルのスポーティ性を取り戻す計画がある」と述べた。

詳細は明かさなかったものの、同氏は次のように説明した。

「欧州のお客様にとってスバルを簡潔な言葉で表すとしたら、『SFT』の3文字になります。すなわち、安全(safe)、楽しさ(fun)、強靭さ(tough)です。こうした価値観があるからこそ、欧州のお客様はスバルに忠実で、繰り返しご愛顧いただいているのです」

「しかし、過去10年間、欧州では4本目の柱がかけていました。パワー(power)とパフォーマンス(performance)を表す『P』です。一般の人にスバルとは何かと尋ねれば、STIと答えるでしょう。スバルとSTIを切り離すことはできません」

「そのため、スバルにスポーティ性を取り戻す必要があるのです。しかし、現時点では不可能です。欧州では、エンジンを文字通り窒息させるGPF(ガソリンパティキュレートフィルター)があるため、許されないのです」

この点はEVでは問題にならないため、スバルは2022年に最高出力1088psのコンセプトカー『STI E-RA』を発表するなど、高性能EVの可能性をすでに模索している。

デロ・ストリット氏は次のように続ける。

「EVにはパワーとパフォーマンス、そして四輪駆動システムがあります。わたし達はよりスポーティなモデルの開発に取り組んでおり、電動化によってそれが実現可能になります」

「素直に申し上げると、将来のWRX STI、つまり超高速、ゴールドのホイール、ブルーのカラーリングという展望があるのは素晴らしいことです。わたし達が求めているのは、まさにこれです」

スバルは現在、トヨタとEVを共同開発する提携を結んでいる。その最初のEVである『ソルテラ』(最近、一部改良を実施)はトヨタbZ4Xをベースにしており、新型トレイルシーカーも共同開発プラットフォームを採用している。

スバルは2028年から新型EVの生産を開始する予定だが、トヨタとの提携は継続される見通しであり、BRZや86と同様に、今後もスポーツカーを共同開発していく可能性が高い。

トヨタはすでに、FT-SEという電動スポーツカーのコンセプトを発表している。また、排出ガス規制により販売が制限されている欧州などの市場に向けて、ハイブリッド化を前提としたGRスポーツカー用の2.0Lの新エンジンも開発中だ。

両社の提携がスバルの将来のハイパフォーマンスモデルの開発に役立つかどうかという質問に対して、デロ・ストリット氏は「もちろんです」と答えたが、それが技術開発なのか、あるいは製品開発なのかについてはコメントを控えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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