【詳細データテスト】レンジローバー BEVの成功を予感させるPHEV 物理スイッチ類は減らしすぎ
公開 : 2025.04.26 20:25
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
基礎部分は従来どおりで、プラットフォームはアルミ主体のMLAフレックス。これは当初から、ハイブリッドだけでなくフル電動化も想定している。
エアサスペンションが標準装備で、車高はオフロード走行時には通常時より135mmアップ、乗降時には50mmダウンできる。アクティブスタビライザーや後輪操舵も標準装備で、全長が5052mmもありながら、旋回サークルは11.4mに抑えた。

2022年にD350をテストした際にも、選ぶのに困るほどパワートレインがあったが、それは今回も同じだ。長距離をカバーするファミリーカーとしても、スーパーサルーンに挑むモデルも選べるということになる。
ボトムエンドは、ディーゼルMHEVで300psのD300。登場時のトップエンドはV8で530psのP530だったが、現在はそれを凌ぐ550psの直6PHEVのP550eが加わっている。しかも、それらを上回るP615も登場。615psのV8ツインターボで、SVのバッジを掲げる。
P550eと下位のP460eは、38.2kWhのバッテリーパックを床下に積む。実用容量は31.8kWhだ。モーターはギアボックスに組み込まれ、218psを発生。EVモードでは、高速道路の速度域くらいまでをカバーするので、これくらいのパワーは必要だ。なにしろ、公称重量は2735kg、テスト車の実測重量は2979kgにも達するのだから。
モーターのみでの馬力荷重比は80ps/tで、1990年代後半のフォード・フィエスタの中級仕様くらいだ。しかし、ツインスクロールのシングルターボと電動スーパーチャージャーを備える3.0L直6が加わると、201ps/tに跳ね上がる。
どのパワートレインを選んでも、トランスミッションはZF製8速トルクコンバーターAT。それに続くのがセンターデフと、リアの電子制御LSDだ。路面状況に応じ、デフやウレーキを用いるトルクベクタリングを調整するテレインレスポンスIIも装備。必要とあれば、ローレンジ副変速機もある。