BMWがサブスク提供開始!『駆け抜ける歓び』は所有から利用の時代へ【自動車ニュースを読む】

公開 : 2025.07.09 07:05

毎日のように発信されるプレスリリースの中から1本をピックアップし、概要、本質、期待の3項目でジャーナリスト橋爪一仁が分析するコラムです。今回は、BMWが6月から提供を開始したサブスク『BMWオールイン』のニュースを解説します。

概要:BMWがサブスク『BMWオールイン』の提供開始

ビー・エム・ダブリューと同社100%出資子会社のビー・エム・ダブリュー・ジャパン・ファイナンスは6月より、BMWの全モデルを対象にリースやメンテナンス、保険や税金などをパッケージした、いわゆるサブスクとなる『BMWオールイン(ALL IN.)』の提供を開始した。

一般的に残価が変動して買取が可能『オープンエンドリース』に対し、BMWオールインは従来からあるリースプランの『クローズドエンドリース』がベースで、契約満了時に残価が保証されるも買取はできない。

BMWの全モデルを対象に、いわゆるサブスクとなる『BMWオールイン』の提供を開始。
BMWの全モデルを対象に、いわゆるサブスクとなる『BMWオールイン』の提供を開始。    BMW

含まれるのは車両代、BMW新車保証やBMW新車延長保証、緊急サポートのBMWエマージェンシーサービス、メンテナンスに役立つBMWサービスインクルーシブ、その対象を広げたBMWサービスコンプリートをセットにしたBMWケア、BMW自動車保険や税金などである。

BMWは、自動車を所有せずに利用を求めるニーズにもBMWオールインによって柔軟に応え、ユーザーは定額費用を支払うことで、所定条件はあるものの、追加費用もなく最新モデルへ乗り換えてBMWライフを満喫できる。

本質:自動車ユーザーの現状と所有から利用への兆し

近年、一般化したサブスクとは、サブスクリプションサービスの略で、リースとの定義上の違いが明確には存在せず、ユーザーがサブスク事業者と契約して定額費用を支払うことで、製品やサービスの利用権利を得るビジネスモデルである。

トヨタの『KINTO』、ホンダの『楽まる』など、同様のサービスを各自動車ブランドや、オリックス、ナイル(カルモくん)やMIC(ニコノリ)などが提供している。

メンテナンス、保険や税金などをパッケージしたサービスとなる(画像は公式HPより)。
メンテナンス、保険や税金などをパッケージしたサービスとなる(画像は公式HPより)。    BMW

自動車におけるサブスクは、ユーザーが所有せずに利用するシェアカーやレンタカーと同じモビリティサービスのひとつで、一括購入やオートローン等による所有と区分される。

時代に先駆けた存在と言えるKINTOは、アルファードを始めとしたトヨタの人気モデルを納車待ちせずに乗れるメリットなどを背景に、2025年3月期の当期純利益が7億9500万円と、2019年の設立後初めて黒字を確保。モビリティサービスへの業界変革を象徴している。

ビジネス視点では、『所有』が販売後に車検や点検等のアフターサービスと代替を促すのに対し、『利用』は契約後にユーザーから定額費用を徴収、乗り換えを促すビジネスで、ファイナンスや中古車の事業視点では特に好ましい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    橋爪一仁

    Kazuhito Hashizume

    ジャーナリスト。自動車業界を経て現在はアビームコンサルティング(エグゼクティブ・フェロー)。企画業務を中心に自動車のブランド・オリジナリティ時代におけるCASE、DX×CX、セールス&マーケティング、広報、渉外、認証、R&D、工場管理、生産技術、製造等の幅広い領域を研究、アドバイザー業務を中心に活動中。特に自動車を経済と技術の側面から分析するのが専門。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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