【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#22 ガソリン満タン90リッター!?

公開 : 2025.11.07 12:05

ここに来てよかった……!

左に折れて少し走ると、『八望台』という展望施設に出た。

駐車場が広い! すさまじく広い! 数百台置けそうだ。でも先客は1台だけ! それも奥の隅っこのほうにいるので、またまたほぼ貸し切り! うおおお~~、ゼイタク~~~!

ああ、なんて繊細かつダイナミックな風景なんだろう!
ああ、なんて繊細かつダイナミックな風景なんだろう!    清水草一

私は独り占め気分を満喫すべく、駐車場のど真ん中に止めた。広すぎてどこがど真ん中かよくわかんなかったけど、だいたいど真ん中に止めた。

展望台に登ると、まさに絶景だ。小さな火山湖の向こうに美しい入り江、そして紺碧の日本海。ああ、なんて繊細かつダイナミックな風景なんだろう。こんなに美しいのに、なんで誰も来ないんだろう。なんでみんな京都とか日光とか、人込みだらけのところばっかり行くんだろう。バカじゃないか!

振り向けば、美しく弧を描く海岸線が伸び、それに沿って無数の風車(風力発電)が並ぶ。これがニッポンなのか? と思うほど雄大な景色である。

手前には無造作かつ広大な駐車場。そのど真ん中あたりに、ポツンと1台大貴族号。全長5メートル強の巨大な大貴族号が豆粒に感じる。

ここに来てよかった……。

クルマに戻って海岸線に降り、左右から雑草が迫るデコボコの小道を抜け、男鹿半島の北西端・入道崎に着いた。

思えば遠くに来たもんだ。よくぞここまで無事に走ってくれた。大貴族号と心が通じ合った気がする。オマエはもう相棒だぜ!

(つづく/隔週金曜日掲載、次回は11月21日金曜日公開予定)

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    清水草一

    Souichi Shimizu

    1962年生まれ。慶応義塾大学卒業後、集英社で編集者して活躍した後、フリーランスのモータージャーナリストに。フェラーリの魅力を広めるべく『大乗フェラーリ教開祖』としても活動し、中古フェラーリを10台以上乗り継いでいる。多くの輸入中古車も乗り継ぎ、現在はプジョー508を所有する。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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