【スバル・パフォーマンスE STIコンセプト】生真面目に技術的視点を追求!デザイナーに聞くクーペスタイルの理由 #JMS2025

公開 : 2025.11.08 12:25

スバルのブランドピラーのひとつである『パフォーマンス』は『STI』が担っています。そのコンセプトが『パフォーマンスE STIコンセプト』です。デザインに込めた思いを、内田俊一が担当デザイナーに聞きました。

エブリデイスーパーカーを体現する

スバルはブランドピラーとして『アドベンチャー』と『パフォーマンス』を掲げおり、後者は『STI』がその一翼を担う。そのコンセプトがこのBEVとなる『パフォーマンスE STIコンセプト』(以下、パフォーマンスE)だ。このデザインに込めた思いを、担当デザイナーに聞いた。

パフォーマンスEの商品コンセプトは『エブリデイスーパーカー』だ。

スバル経営企画本部デザイン部担当部長/デザインディレクターの今井真一さん。
スバル経営企画本部デザイン部担当部長/デザインディレクターの今井真一さん。    内田俊一

「スバルとして、居住性だけでなく、ゼロ次安全としての視界からくる安全、安心がまず前提にあり、そこは必ず守るためにこのシルエットやプロポーションが作られています」と語るのは、スバルのデザイン部担当部長/デザインディレクターの今井真一さんだ。

通常コンセプトカーというと、キャビンを絞るなどして格好良さをデザインの中心に置きがちだが、パフォーマンスEはBEVであることから、「空力性能なども含めたパフォーマンスそのものを引き立てることを何より重視」したとし、「そういった機能性をいかに守りながら、スバルのヘリテージをどれだけ入れられるかに注力しました」と語る。

パフォーマンスとヘリテージそれぞれ別と捉えがちだが今井さんは、「ひとつと捉えています」という。

「STIこそが我々のパフォーマンスの象徴です。その上で、スバルのSTIが培ってきたデザイン領域で、見てすぐにSTIだと分かってもらえる要素を散りばめています」

コンセプトだからと手を抜かない

例えばフロントではSTIのロゴの部分だ。これまでのスバルのSTIの車両を見ると、「フォグまわりをカバーするものがありました。これも余計な空気が当たらないように取り付けていたものです。今回はBEVですから空力はすごく大事です。そういったところで象徴的に、同じ要素をよりシンプルに現代に合わせてデザインしました」という。

また、ゴールドのホイールも同様だ。パフォーマンスEでは、「空力デバイスとして空気をホイールに入れないようにデザインしていますので、空力性能がすごく上がりました」。BEVは航続距離は大事であり、エブリデイスーパーカーのエブリデイの部分にもとても効果があるわけだ。

リアウイングの形状はダウンフォース、空気抵抗、航続距離のバランスを研究した結果となる。
リアウイングの形状はダウンフォース、空気抵抗、航続距離のバランスを研究した結果となる。    内田俊一

そしてリアの大きなウイングも「皆さんが期待するところです」と今井さん。

「しかし、ダウンフォースは稼げますが、空気抵抗は大きくなり航続距離にも大きく影響します。そこで象徴としてしっかりと形は作りましたが、横渡し(左右方向)するような形状ではありません。空力チームとダウンフォースと空気抵抗、航続距離のバランスを研究した結果、翼端板といいますか、こういった形状に仕上げました」

最後に今井さんにクーペスタイルで、なぜリアにハッチゲートを備えているか聞いてみた。空力を意識するなら、セダンにしてリアを伸ばす方が効果が見込めるからだ。

「このシルエット自体が人中心の我々の考えですから、セダンタイプにするとさらに全長が伸びて、相当大きなクルマになってしまいます。空力と居住性も維持しながらなるべくコンパクトにして、使いやすさとキビキビした走りも向上させるというバランスを考えた結果、ここにたどり着いたんです」

コンセプトだからと遊び心やデザイナーのエゴを入れず、生真面目に技術的視点を突き詰めたのがこのパフォーマンスE。まさにスバルらしさを体現した1台といえよう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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