惑星の名を冠した新型EVシリーズ展開へ ヒョンデ、中国専用新世代コンセプトカー『ヴィーナス』と『アース』発表

公開 : 2026.04.14 07:25

ヒョンデは世界最大の中国市場に特化した新しいEVシリーズのコンセプトとして、セダンの『ヴィーナス』とSUVの『アース』を公開しました。現地の需要や規制に適したモデルを展開し、販売増を狙います。

現地の顧客に合わせて設計

ヒョンデは、中国市場向けの新しいEVシリーズとして、新開発のコンセプトカー『ヴィーナス(Venus)』と『アース(Earth)』を公開した。

この2台は、「現地の顧客に合わせて設計された」中国専用EVの先駆けであり、同社が他の市場で販売している「アイオニック」シリーズとは一線を画すものだという。

ヴィーナス(左)とアース(右)
ヴィーナス(左)とアース(右)    ヒョンデ

その違いを強調するため、中国向けのモデルは、サイズに応じた『アイオニック5』や『アイオニック9』のような数字表記ではなく、今回のコンセプトカーと同様に惑星の名を冠することになる。

ヒョンデによると、このネーミング方式は、「顧客を中心として、各車両がその周りを公転している様子を象徴している」という。また、デザインとしても、既存のアイオニックモデルに見られるモノリシックでレトロ風、かつピクセルを多用した路線から一線を画すものだ。

先進的なデジタル機能を強調

シンプルな「シングルカーブ」のシルエットが特徴のヴィーナスとアースは、「一目でわかる、エモーショナルで個性的な存在」であるとされている。

例えばヴィーナスは、2022年にヒョンデが発売した同サイズのセダン、アイオニック6とはまったく異なる。車名の由来となった金星を彷彿とさせるラディアント・ゴールドで仕上げられ、「軽量なフレーム構造のルーフ」と透明なスポイラーを備えた、珍しいキャブフォワードのプロファイルを持つ。また、アイオニック6よりもはるかにシャープで直線的な、エッジを際立たせたデザインとなっている。

ヴィーナス・コンセプト
ヴィーナス・コンセプト    ヒョンデ

車内は「ドライバー重視の包み込むようなコックピット」と表現されている。物理的なスイッチ類は一切なく、巨大なデジタルディスプレイが採用されており、中国で今後投入するモデルのデジタル機能を予感させる。そして、スエードのシートとゴールドのトリムにより「プレミアム感」を強調している。

一方、アースは力強く堅牢な雰囲気を醸し出しており、ボディクラッディング、スキッドプレート、張り出したボディワークによってアウトドア志向を強く感じさせる。中国では近年、ランドローバーディフェンダーのようにタフなSUVが人気を集めている。

車内は広さと快適性を重視した設計で、複数の空気ポケットからなる「エアハグ」シート、ダイナミックなアンビエントライト、そして「穏やかでゆったりとした」空間を演出するさまざまな要素を備えている。

ヒョンデの新たな起点に

ヒョンデのチーフデザイナー、サイモン・ロースビー氏は2台のコンセプトカーについて、まったく新しいビジネス戦略で中国市場での存在感を高めるための礎になると述べた。

「わたしたちは『オリジン(The Origin=原点)』、つまりまったく新しい存在になることを目指します。遠くからでも一目で認識でき、路上で力強い存在感を放ち、『最高の第一印象』のを与えるものです」とロースビー氏は語った。

アース・コンセプト
アース・コンセプト    ヒョンデ

「『オリジン』は当社の宣言です。『先導せよ、追随するな』。これが起点となります。ヒョンデの野心は、新たな方向性を打ち出すことにあります」

ヒョンデは、これらのコンセプトカーの開発状況については言及しておらず、中国市場向けの新型EVの発売時期についても明らかにしていない。しかし、今月下旬の北京モーターショーで一般公開される際に、追加情報を発表する予定だ。

プラットフォームの詳細も未確認だが、レンジエクステンダー式パワートレインや自動運転技術といった「市場特化型ソリューション」を導入すると発表していることから、高度に専用設計されていることが伺える。

ヒョンデはすでに、北京に拠点を置くBAICモーターと中国で合弁事業を展開しており、その枠組みを通じてSUV『エレクシオ」、ミニバン『クスト』、クロスオーバー『ムファサ』、および中国向けに改良された各種グローバルモデルを生産している。

ヒョンデのように、世界最大の自動車市場である中国に特化したモデルを展開し、独自の需要や規制に応えようとしているメーカーは少なくない。例えばフォルクスワーゲンは、「中国で、中国のために」という戦略を掲げ、複数の現地メーカーと提携して現地市場向けのEVや内燃機関モデルを幅広く開発している。アウディも最近、中国専用の高級EVブランドとしてAUDIを立ち上げた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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