主役の座を奪った兄弟の328 フレイザー・ナッシュBMW 319(1) 影になった1.9L直6エンジンとキドニーグリル

公開 : 2026.07.04 17:45

1939年前後にギブソン兄弟が中古車で購入

そんなフレイザー・ナッシュBMW 319で、今に生き延びる貴重な1台が、この1936年式。グレートブリテン島北部、スコットランドの販売店だったスコット・ブラウン社が、俳優でレーシングドライバーだったエリオット・プレイフェア氏に届けた車両だ。

経歴は断片的にしか残っていないが、1939年前後に、ポールとジャックというギブソン兄弟が中古車で購入している。金額は225ポンドだった。当時の写真を見ると、第二次大戦中はヘッドライトを遮光するカバーを装着していたようだ。

フレイザー・ナッシュBMW 319(1936年式/英国仕様)
フレイザー・ナッシュBMW 319(1936年式/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ASC 131のナンバーで登録された319は、兄弟が入手するまでに多くのレースを戦った。1937年のボネス・ヒルクライムとスコティッシュ・コロネーション・ラリーでの勇姿や、翌年のインターナショナル・ラリー・スコットランドを戦う写真が残されている。

1950年には自動車雑誌、ザ・モーター誌の編集長だったチャールズ・ブルマー氏が購入。1962年と1966年にも転売されているが、以降は不明だという。

「BMWのことを、もっと父へ確認しておくべきでした」

現在のオーナーは、数10年を経て探し出したという、ジェレミー・ギブソン氏。「このBMWのことを、もっと父へ確認しておくべきでした」と悔やみながら振り返る。「でもその頃の自分は若くて、古いクルマの話はあまりしませんでしたから」

ギブソンは根っからのクルマ好きだが、専ら現代的なモデルを好んできた。しかし、フレイザー・ナッシュへ詳しい知人だったマイク・サイス氏から、1940年頃に父が乗っていた319の情報を聞いたことをキッカケに、心は動いた。

フレイザー・ナッシュBMW 319(1936年式/英国仕様)
フレイザー・ナッシュBMW 319(1936年式/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「最後に確認されたのは、ドイツ。レストア中だったようです。ヴォルフガング・シュルンダーさんという人が、所有していました。レストア後の価格はかなり上昇すると予想できたので、自分はそれ以上深追いしなかったんです」

この続きは、フレイザー・ナッシュBMW 319(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フレイザー・ナッシュBMW 319の前後関係

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