繊細で可憐な佇まい フレイザー・ナッシュBMW 319(2) シャシー性能を最大限に引き出す動力源 快適さの中で叶えた敏捷性
公開 : 2026.07.04 17:50
シャシーの性能を最大限に引き出す動力源
1kmも走れば、ストロークの長いシフトレバーの感触が馴染む。ギア比も丁度良い。前後ドラムのブレーキは、頼もしくスピードを落としてくれる。
渓谷を縫うように伸びる道を、しばらく気張らず走らせる。小さな排気量にも関わらず、低域からトルクが太い。乗り心地も見事でしかない。ステアリングは言葉を失うほど正確で、フィーリング豊か。1936年当時、20年は先取りした仕上がりだったはず。

1930年代末の、ダービー時代のベントレーも流暢だが、319ほど正確ではなかったと記憶している。そんな感触を堪能しつつ、折り返し地点でペースアップ。回転数を引っ張ると、抑えられていた咆哮が放たれる。馬力は限られても、予想より遥かに速い。
それでいて、エンジンは脇役。シャシーの性能を、最大限に引き出す動力源に徹している。カーブへ飛び込めば、頂点を目掛けてフロントノーズは鋭く反応し、アクセルペダルの加減でラインを調整できる。
極めて快適な運転体験で叶えた敏捷性
同時期の英国製スポーツカー、MGやアストン マーティン、オリジナルのフレイザー・ナッシュも、同等に敏捷だったかもしれない。しかし319は、極めて快適な運転体験の中でそれを叶えている。このクルマの評価が不当に低いと実感する、事実だろう。
クラシックカーへ詳しい人へ、戦前のBMWの傑作を聞いたなら、328を挙げるはず。恐らく、唯一の存在であるように。しかし、それが誕生するまでには相応の理由があった。319の運転は、忘れてはならない影の存在へ気付かせる、貴重な時間だった。








































































































