新型『レクサスES』の美点は普通の人が普通に実感できる! セダン受難の時代でも進化を留めない「作り手の愛」【渡辺敏史が吟味】

公開 : 2026.07.14 11:45

数値的にはLセグメントサルーンに肩を並べる

500eはリアアクスル側にモーターを配するDIRECT4を採用。駆動はフロントアクスル側を主とするが、リアは加速や操安性にも積極的に関与し、0-100km/h加速は5.5秒と充分な動力性能を発揮する。1モーターFFの350eは8.2秒と平準的だが、それとて動力性能に不満を抱くようなことはないだろう。

ちなみに航続距離はWLTCモードで350eが670km、500eが636km(共に19インチタイヤ装着時)というから、実距離や大型サルーンの用途を鑑みても、必要十分の行動範囲は確保されているといえそうだ。

500eはリアアクスル側にモーターを配するDIRECT4を採用。
500eはリアアクスル側にモーターを配するDIRECT4を採用。    レクサス

プラットフォームは現在トヨタのDセグメント以上をカバーするTNGAのGA-Kをベースに、駆動バッテリーの搭載性にも配慮された専用設計の骨格を採用。並行して、レクサスがここ数年力を入れている、走りの味わいを深めるための補剛要素が全面的に採り入れられている。

更にバージョンLとリアコンフォートパッケージは電子制御可変ダンパーとアクティブリアステアも標準装備となり、快適性やハンドリング面で異なる個性をみせてくれるようだ。

新しいESはその駆動バッテリーを搭載する前提もあって、全高が1560mmとセダンとしては高めの設定となっている。この高さを視覚的に落ち着ける狙いに加えて、フラッグシップサルーンに迫る居住性を確保したいという思いもあったのだろう、全長は前型に対して165mm増しの5140mm、全幅は55mm増しの1920mmと、数値的にはLセグメントサルーンに肩を並べている。ホイールベースはFF系車台にして2950mmと、相当なビッグサイズだ。

室内高に余裕があるぶんLSよりも安楽

日本の場合、使用環境によっては車格的に厳しいという場面も出てくるかもしれないが、そのぶん居住性はロングボディのLセグメントにも匹敵するほど余裕があり、リアコンフォートパッケージの機能も充分に活かすことが出来る。乗せられる側にしてみれば、室内高にも余裕があるぶん、LSよりも安楽かという気もしなくもない。

試乗ルートは舗装の荒れや雑な補修痕、穴ボコなどが随所にあるいかにもアメリカ的な路面環境だったが、バネ下の応答感はおおらかで、揺すりや突き上げなどを巧くいなしていた。ちなみに北米仕様は可変ダンパーやリアステアの設定自体がないということで、試乗車両のスペックはいずれもベーシックなものだ。

居住性はロングボディのLセグメントにも匹敵するほど余裕がある。
居住性はロングボディのLセグメントにも匹敵するほど余裕がある。    レクサス

乗せられて嬉しいクルマと乗って楽しいクルマというのは得てして成り立ちが相対するものだが、新しいESはその辺りもうまく纏めている。やはり特筆すべきはBEVならではの低重心に加えて、巡航時のフラットライドや減速時のピッチ&バウンド抑制、後輪側の駆動を積極的に用いての旋回など、あらゆる動的質感に関与するDIRECT4を備えた500eだ。

例えば停止寸前に姿勢を調整する際のブレーキの抜き差しのやりやすさや、そこからの急加速など、敢えてセッティングのアラをほじくり出すような入力を加えてみても、クルマは徹底して細やかな応答を心掛ける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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