ロードテスト アルピーヌA110 ★★★★★★★★★★

公開 : 2018.06.02 10:10  更新 : 2021.05.13 12:00

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り ★★★★★★★★★☆

新しいA110に搭載されている1.8ℓ4気筒ターボエンジンは、従来のコンパクトなスポーツカーに搭載されてきたエンジンとは異なる性格を持っている。

回転数の許容範囲もレスポンスのリニアさも、ポルシェのフラット4ほど優れておらず、ロータスのスーパーチャージドエンジンのように、クランキングが高速に変化する表情の変化や、サウンドが上り詰めていくドラマ性も持っていない。また、BMWアウディの6気筒が持つ、ガソリンが燃えている濃いフィーリングとも違う。

ただ、明確なキャラクター性は持っているし、充分に速い。クルマが軽量なお陰で、想像以上に、よりパワフルなライバルに対抗できるだけのパフォーマンスレベルを獲得している。

2000rpmで発生する32.5kg-mの最大トルクは上り坂でも充分だが、ペダル入力に対してのレスポンスはやや穏やか。7000rpmのレッドゾーンまで鋭く回転数は上昇するから、ピークパワーが発生する1000rpmの幅を割った際の、フレキシビリティの低下は最小限に抑えられている。

エンジンノイズは金属質でザラついたもので、それほど心地よく聞こえるものではないが、ターボが発するサウンドが重なり、結果として充分に活発な印象を与えてくれる。また、アルファ・ロメオ4Cの4気筒ターボのように、アルピーヌのエンジンも元気な吸気音とブローオフバルブがさえずる。

ドライコンディションで何度かトライしたが、アルピーヌが主張する加速値に届くことはなかった。恐らく大人ふたりが乗車し、燃料タンクも満タンの状態だったからだろう。ちなみに毎回われわれのテスト条件は同じではある。

アルピーヌのスペックシートによると、0-100km/h加速は4.5秒。今回のテストにおいては、0-96km/h加速は4.7秒だった。オートマティックモードでローンチコントロールをオンにして発進させると、1速を長く使いすぎるきらいがあることに気づき、マニュアルモードの方が良いスコアが残った。

161km/hまでの加速は10.8秒で、4速での48km/hから112km/hまでの加速は6秒。これらの結果を見ると、実世界で使用頻度が高い速度域においては、われわれが2016年にテストした718ケイマンSのマニュアルよりも、A110の方が速いといえるだろう。ほぼ5万ポンド(765万円)の価格ということを考慮すると、妥当な性能だと思う。

トランスミッションは、時折変速にもたつくが、基本的には優秀な7速デュアル・クラッチAT。切れ味の良いマニュアル・トランスミッションがアルピーヌに搭載される可能性も考えられる。一方で、このギアレシオはクルマにピッタリフィットしているように感じられる。6速マニュアルとなれば、ギア比は変更されるはず。

とにかくポイントとしては、自律運転主軸のクルマではなく、間違いなくドライバーズカーといえることだ。

テストコース

ドライコンディションのサーキットでは、まさに水を得た魚のようだったA110。一般道では適度なグリップレベルと、素直で寛容なボディコントロールを示すが、サーキット場ではドライバーが望めば、望外なスピードでの走行も可能だ。

このクルマが本当に素晴らしいと気付くのは、周回速度の高さではない。トラックモードを選択し、ESPをオフにすれば、ここ何十年にも渡ってライバルとなるスポーツカーが目指していたであろう、類まれな包容力と没入性を備えたシャシー特性を実感するに違いない。

多くのミドシップのクルマと違い、オーバーステアからのスライド、いわゆるドリフトでのコーナリング時の振る舞いは、さほどシビアではない。コーナーの出口に向けて、ドリフトアングルを調整し、維持することができるし、極めて自然にスライド状態に持ち込むことができる。

発進加速

テストトラック条件:ドライ/気温10℃
0-402m発進加速:13.2秒(到達速度:176.7km/h)
0-1000m発進加速:24.0秒(到達速度:222.5km/h)

ロータス・エリーゼ・カップ250(2016)
テストトラック条件:ドライ路面/気温13℃
0-402m発進加速:13.4秒(到達速度:169.7km/h)
0-1000m発進加速:24.5秒(到達速度:212.5km/h)

制動距離


テスト条件:ドライ/気温10℃
97-0km/h制動時間:2.55秒


ロータス・エリーゼ・カップ250(2016)
テスト条件:ドライ/気温13℃

 

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