ロードテスト フォルクスワーゲン・ポロGTI+ ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2018.12.09 11:40  更新 : 2018.12.13 13:13

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り ★★★★★★★★☆☆

直線加速の鋭さ関しては、ホットハッチの大きな魅力にはなりにくいものの、ポロGTIがいかに速いクルマなのかを良く示している。0-100km/h加速は、以前われわれが計測した245psのゴルフ GTIパフォーマンス・パッケージよりわずかに0.2秒遅い、6.7秒。160km/hへの到達時間も、1秒ほど多く要するだけだった。

ただし、デュアルクラッチ・トランスミッションのローンチコントロール機能では、乾燥路面であっても完璧なグリップを引き出すことはできず、前輪はありあまる元気に空転してしまった。最高速度は、メーカー公称値で241km/hとなっているが、ミルブルックの急なバンクの付いた高速コースでは、210km/hまであっという間に加速したことを考えると、241km/hという数字は事実だろう。

ポロGTIのパフォーマンスに不足がないことは明らか。むしろエンジンに手を加えることなく、さらに速くなる可能性すら垣間見える。燃費を狙ったためか、トランスミッションのギア比は比較的ロングで、1500rpmから発生する32.5kg-mの最大トルクは、クルージングにも有利ではある。しかし、ショートギア化させれば、もっとエキサイティングなドライビングを楽しめるはず。

パフォーマンスを高めたとはいえ、毎日乗ることが前提のクルマだから、燃費はオーナーにとっても大切な性能ではある。ポロGTIの燃費は16.5km/ℓと、充分評価できる数字。今回のロードテストでのポロGTIの燃費は、サーキットでのパフォーマンステスト時で4.9km/ℓにまで悪化。総合平均でも12.9km/ℓにまで落ちてしまった。ポロGTIの燃料タンクの容量は40ℓだから、航続距離は515km程度と考えられる。

フォードフィエスタSTは、1.5ℓの3気筒エンジンを搭載しており、さらに低負荷時には1気筒を休止させる機能も備えている。フィエスタSTには及ばない燃費だが、フィエスタSTはロードテストをしていないから、同じ条件での燃費は変わってくる可能性もある。

もしこの2.0ℓエンジンで弱点をあげるとすれば、音響面で明確な特徴に欠ける点。EA888ユニットは非常に力強く、滑らかに回転するものの、6000rpmめがけてアクセルを踏み込んでも、湧出するパワーと、響き出すノイズとが一致しない印象がある。エグゾーストノートのボリューム自体も静かで、トーンもフラット。2本出しのマフラーは、積極的にシフトチェンジをしてエンジンを回そうという、雰囲気作りに欠けている。スポーツモードにして、排気温度が充分に高くなると、マフラーからは弾けるような音も稀に聞くことはできるのだが。

ツインクラッチ式のDSGは、たとえシフトノブを横に倒してマニュアルモードにしていても、6500rpmでレッドラインが切られるにも関わらず、250rpmほど低い回転数で、自動的にシフトチェンジをしてしまう。また、アクセルペダルを深く踏み込むと、マニュアルモードであってもキックダウンするから、ホットハッチを思う存分振り回せる、という感覚にまでは至らない。DSGの振る舞いを見ると、6速マニュアルの登場を待つ価値はありそうだ。

テストコース

いつもの、ミルブルック自動車性能試験場の丘陵コースは、まさにスーパーミニ・クラスのホットハッチが輝きを増す場所。しかも、エキサイティングな感覚に加えて、クルマの落ち着き具合も良くわかる。フィエスタSTではボディコントロール性の不満が、ミニ・クーパーSではステアリングレスポンスの鈍さが露呈してしまった。

ポロGTIで攻め込むと、洗練されたサスペンション構造とコンチネンタル性のタイヤの組み合わせが、素晴らしい路面とのコンタクトを生んでいることがわかる。ESPを完全にオフにすることはできないが、スポーツモードではきついコーナーでも不満のないヨーコントロール性を示し、調整しろも充分に残されている。ロングギアが気にかかるが、総合的にはかなりの競争力を備えたパフォーマンスを備えている。

T1セクションでのシャシーバランスは極めて良好。3速で走ったが、アンダーステアはほとんど発生しなかった。サスペンションの収縮が強くかかるエリアで、ポロの比較的穏やかな減衰力の設定が露わに。T3セクションではサスペンションはフルバンプし、予期せぬ挙動を示した。何周か激しく走行した後でも、T5セクションの急な下り坂が続くエリアでさえ、ブレーキはフェードの兆候は見られなかった。

発進加速


フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0TSI
テストトラック条件:ドライ/気温28℃
0-402m発進加速:15.3秒(到達速度:152.08km/h)
0-1000m発進加速:27.6秒(到達速度:191.0km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:9.2秒


フォード・フィエスタST-2(2013年)
テストトラック条件:ドライ/気温15℃
0-402m発進加速:15.3秒(到達速度:152.2km/h)
0-1000m発進加速:27.6秒(到達速度:195.2km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:8.2秒

制動距離


フォルクスワーゲン・ポロGTI+ 2.0TSI
テスト条件:ドライ/気温28℃
97-0km/h制動時間:2.82秒


フォード・フィエスタST-2(2013年)
テスト条件:ドライ/気温15℃

 

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