キャデラックが1億円超えで落札。アメリアアイランド・コンクール・デレガンス併催のオークション、第1弾です。戦前のモデルが約半数を占め、落札率は82%。ベテラン向けの濃い内容なのです。

落札率82%　主役は戦前の名優たち

ペブルビーチと共にアメリカを代表するコンクール・デレガンスといえるのが、温暖なフロリダ州で開かれるアメリアアイランド・コンクール・デレガンスである。このコンクールにリンクして様々なイベントが開かれるが、全米はもとより世界中から集まる愛好家に向けたコレクターズカー・オークションが大手3社により開かれる。その幕開けとなったのがボナムス・オークションである。

アメリアアイランド・コンクール・デレガンスに来場したコレクターに向けたオークションだけに、例年通り戦前車を中心としたラインナップが用意された。ちなみに戦前車の比率は全出品車の約45%を占め、今回はポーペが数多く用意されたが、逆にお約束といえるデューセンバーグの姿は無く、パッカードも2台だけに留まった。そのかわりマイナーなモデルが数多く用意され、オークションに変化を与えてくれた。そのためか落札率は82.56%と好調だった。

一方でお約束のフェラーリなどのスーパースポーツの姿は無く、フェラーリで最も新しいモデルが550マラネッロ、同様にポルシェでは964カレラRSが最新モデルで、356とナロー中心のラインナップといえば、このオークションの傾向が分かろう。また全体の落札額は昨年から下落傾向が続いており、特に選ぶことのできる量産モデルに顕著だ。

トップ10　8台が戦前車

いつもとは違った傾向で開かれたオークションだけに、結果も如実に。トップ10の内8台が戦前車で占められ、近年のオークションでは異例といえる結果となった。最高落札額は、アメリカのオークションらしく1930年キャデラック・シリーズ 452 V-16 ロードスター・フリートウッドが1億3300万円を記録。

ここに続いたのが異例といえる3ℓの葉巻型F1マシンで、ジャッキー・イクスのドライブで1969年のカナダGPで優勝すると共にヨッヘン・リントもドライブした1968-69年ブラバム・レプコ BT26/BT26A コスワース3L（当初はレプコV8を積むが1969年シーズンはコスワースDFV を使用）。ヒストリーが評価されて1億2376万円まで値を上げて2番値となった。

3位以下は1913年マーサー・タイプ 35J レースアバウト（1億36万円）、1914年シンプレックス 50HP スピードカー（9912万円）、1904年ピアレス・タイプ 8 スタイル K 24HP 4気筒 キング・オブ・ベルジャン（7818万円）、1998年RUF ターボ R（7017万円）、1904年トーマス・モデル 22 3気筒 24HP フライヤー・リアエントランス・トノー（5477万円）、1929年ベントレー 4 1/2L スポーツ・ツアラー（5292万円）、1908年ウェルチ・モデル 4-L 50HP 7座 ツーリング（5108万円）、1907年ティンカー・モデル H 60HP 7座 ツーリング（4738万円）と今では馴染みのないメーカーのクルマが占めるという結果となった。

コアなコレクターに向けたオークションだけに、21世紀のクルマは2006年ベントレー・コンチネンタル・フライング・スパーの1台だけで、ミドシップのスーパースポーツはランボルギーニ・ディアブロ VT ロードスターのみという割り切りぶりだった。全般的にマニアックなモデルが多く、1961年フィアット OSCA 1500S スパイダー（414万円）、1962年ランチア・フラミニア・クーペ（251万円）、1966年メイヤーズ・マンクス・デューンバギー（345万円）、1963年ボルボ P1800S（364万円）などお値頃といえる額の出品車は好調だった。

一方でアルファ・ロメオ 6C 2500 スーパースポルト・カブリオレ（予想落札額6720〜8400万円)は、ここのところ6C 2500の出品が続いたことから流れてしまった。1956年クーパー・クライマックス 1.5L T-39 ボブテール（予想落札額2128〜2576万円）はレーシングマシンだけに入札が続かずダウン、1964年シェルビー・コブラ 289（予想落札額1億80〜1億2320万円）は、この種のコレクターが会場にいなかったようで残ってしまった。

また2台の新旧GT-RとアキュラNSXが姿を見せたが、このオークションの傾向からこれらのモデルを好む愛好家の来場が少なかったようで、いずれもいつもより安く落札されていた。

ボナムス・アメリアアイランド・オークション　結果一覧