FCAとPSAの対等合併 「地中海同盟」何をもたらす? 「弱者連合」を否定できる3つのワケ

2019.11.01

背景まるで異なる両会長 正念場は雇用

PSAのカルロス・タヴァレスCEOとFCAのジョン・エルカン会長は、背景がまるで異なるがゆえにウマが合いそうにも見える。

前者はポルトガルの出身で、地元エストリル・サーキットのコースマーシャルから自動車業界に入った立志伝中の人物。

PSAのカルロス・タヴァレスCEO(写真左)とFCAのジョン・エルカン会長(写真右)
PSAのカルロス・タヴァレスCEO(写真左)とFCAのジョン・エルカン会長(写真右)

PSAの舵取りを任される以前は、パリで学業を修めた後、ルノー日産でカルロス・ゴーンの下、副社長まで昇りつめたプロ経営者だ。

アルピーヌの復活もルノー在籍時の彼の旗ふりに多くを負うている。

対するFCAのジョン・エルカン会長は、フィアット中興の祖であるアヴォカートことジャンニ・アニエリの孫という華麗なる一族の出自で、父親はフランスとイタリア双方に出自をもつ作家のアラン・エルカン。

弟は世界中の男性ファッション誌がイタリアのファッション・アイコンと崇めるラポ・エルカンだ。エルカンはニューヨーク生まれとはいえ、タヴァレスとはフランス語で話すのが容易だろうことは察せられるし、タヴァレスはモータースポーツ愛好者で、エルカンは伝統的エレガンスの継承者であることは確かだ。

すでに設立が取り沙汰されている対等な資本持ち合いの新会社は、オランダに設立されることが発表されている。

アニエリ一族の所有する持ち株会社にして投資会社、エクソールが拠点を置くのがオランダだからともいえるが、互いの本国でない中立地帯が必要なのだろう。

新会社の会長はエルカンが務め、タヴァレスは代表取締役となり、双方から5名づつ選出され、タヴァレスを加え11人の取締役会の代表におさまる。

これより数週間、統合計画の概要を整えるためのプロトコルが、おそらくクリスマスの前までに実務者たちの間で話し合われることになっている。

同じく発表された内容では、新会社設立によって約3700億ユーロのシナジー効果が見込まれ、その80%は設立から4年以内に達成されるが、2800億ユーロのコストが見込まれるという。

今のところ工場を閉鎖する計画はないが、フランスとイタリアの両政府とも真っ先に気にしているのは、この雇用の確保という点だ。

ちなみにトヨタは1000万台以上の販売規模ながら全世界で従業員は約37万人、対して約870万台の仏伊連合の合計は41万人ほど。

この辺りをどう乗り切るかが、正念場となるだろう。

 

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