ジャガーXF(1) 長期テスト 本物のブリティッシュ・スポーツサルーン

公開 : 2021.12.05 09:45

歴史に刻まれるであろう、内燃エンジンを載せた英国製4ドアサルーン。後期モデルの完成度を長期テストで確かめます。

2025年以降は純EVのみになるジャガー

ラインナップのすべてが、純EVになる日が来る。アルファ・ロメオアルピーヌボルボなど、ほぼすべてのメーカーがその道を進もうとしている。10年以内に内燃エンジンを辞めると発表していないメーカーは、少し時代錯誤な感じさえ受けるほど。

2025年以降のジャガーも、純EVへ特化したブランドになる。そのニュースは、英国では特に大きな反響があった。

ジャガーXF P250 Rダイナミック SE RWD(英国仕様)
ジャガーXF P250 Rダイナミック SE RWD(英国仕様)

何しろジャガーといえば、大排気量のスポーツクーペやレーシングカー、スポーツサルーンなど、内燃エンジンとの結びつきが強いブランドの1つ。ジャガーの工場から、エンジンを載せないクルマがラインオフする姿は、想像が難しい。

今回長期テストに加わったXFも、内燃エンジンを載せている。ジャガーは既に純EVのIペイスのほか、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のFペイスEペイスもラインナップしている。だが、XFにその流れは届いていないようだ。

このXFと、ひと回り小さいXEで選べるのは、基本的に内燃エンジンのみ。多くのライバルがPHEV版もラインナップするが、ジャガーのサルーンで選べる電動化技術は、マイルド・ハイブリッドのディーゼルに限られている。

そんなフラッグシップ・サルーン、XFの現在の競争力はどの程度あるのだろうか。そもそも、サルーンというセグメント自体が縮小傾向にある。今回の長期テストでは、そんな側面に焦点を当ててみたい。

530iやA6 45がライバルになるP250

恐らく、ジャガー最後の内燃エンジンを搭載した大型サルーンになるであろうXFは、マイナーチェンジを受けたばかり。見た目は大きく違わないが、その内側の変化は大きく、マイナーチェンジ前とは別次元といえるモデルへ進化している。

英国編集部にやって来たのは、XFのラインナップでは中間に当たる、251psを発揮する4気筒ガソリン・ターボエンジンを載せたP250。BMW 530iやアウディA6 45 TFSIがライバルとなるグレードだ。

ジャガーXF P250 Rダイナミック SE RWD(英国仕様)
ジャガーXF P250 Rダイナミック SE RWD(英国仕様)

0-100km/h加速6.9秒、最高速度249km/h、平均燃費は12.5km/Lという数字が並ぶ。直列6気筒エンジンが選べないことを悲しむドライバーもいるかもしれないが、ATを介して後輪を駆動する特長は維持している。

トランスミッションは8速AT。シャシーはカーブの連続する道でも、悪くない身のこなしを披露してくれる。スタイリングもとてもエレガントだ。

マイナーチェンジの内容は、ドイツ御三家に軽い頭痛を招かせるのに充分な内容だろう。それ以上といえるが、大幅に見直された英国価格だといえる。

3万3975ポンド(約523万円)から、ジャガーのフラッグシップ・サルーンに英国では乗ることができる。同等のBMW 5シリーズメルセデス・ベンツEクラスより、5000ポンド(約77万円)ほど安い。

それでいて装備は充実している。オプションで盛る必要もない。非常にコストパフォーマンスが高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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