メルセデス・ベンツCクラス 詳細データテスト 競合車を引き離すEV航続距離 強みは走りより洗練性

公開 : 2022.05.14 20:25  更新 : 2022.06.21 13:20

結論 ★★★★★★★★★☆

プラグインハイブリッドのパワートレインは、クラスをリードするエグゼクティブセダンには欠かせない要素となった。このセグメントへ参入するにあたり、出来のいいPHEVなしには、このクラスで支配的なドイツ勢を凌ぐことは難しい。

しかし、BMW 330eが驚くほど長い間、このセグメントの頂点に君臨してきたとはいえ、顧客を取り込むのにもっとも直接的なルートを、非常に効果的に選んだクルマと競い合うために、より強力になり、航続距離を長くした改良モデルが必要となるだろう。

結論:航続距離の長いハイブリッドは、Cクラスにこの上ないセールスポイントをもたらすものだ。
結論:航続距離の長いハイブリッドは、Cクラスにこの上ないセールスポイントをもたらすものだ。    LUC LACEY

そんな、ガソリンハイブリッドとしてより多くをもたらしてくれるクルマが、今回のC300eだ。より優れたパフォーマンスや洗練性、燃費、そして、これが重要なのだが、EV航続距離を備えている。最後の要件は、ランニングコストの低さにも移動範囲の広さにもつながる。

そんな仕様であってさえ、Cクラスはミュンヘン生まれのクルマがみせるような魅力ある走りを備えることはできなかった。さらに、キャビンのパッケージングやマテリアルの質感にも改善の余地がある。

もしも今回のテストが、PHEVではないパワートレインを積む仕様だったならば、おそらくクラストップの座には就けなかっただろう。しかし2022年現在、このC330eこそ、もっとも重要なCクラスであり、堂々たるクラスベストといえるクルマだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ほかのマーケットでオプション設定される直流55kW充電への対応が、英国では導入されていない理由がわからない。パブリックな急速充電施設を使えれば、PHEVの大きな売りになると、個人的には思えてならないのだが。

イリヤ・バプラート

英国では、アヴァンギャルド仕様が買えないのは残念だ。より温かみと明るさのあるインテリアのマテリアルや、より洗練されたエクステリアが備わっているのに。数は売れないかもしれないが、プレミアムブランドなら幅広い選択肢を用意してほしいものだ。

オプション追加のアドバイス

スタンダードなC300e AMGラインのセダンか、フル装備のプレミアム・プラス仕様のステーションワゴンか、シンプルにその2択だ。いずれにせよ、ドライビングアシスタンスパッケージ・プラスは付けておきたい。

改善してほしいポイント

・荷室の床下に、充電ケーブルの収納スペースがほしい。
・高回転時のエンジンは、もう少し静かでスムースにしてもらいたい。
・EV航続距離があと3~4km伸びると、税制的に有利になるのだが。英国向けに、細いタイヤと空力パーツを装備した仕様が用意されるとありがたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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