期待通りに新しく伝統的 ロータス・エミーラへ試乗 アルミシャシーに3.5L V6 前編

公開 : 2022.06.13 08:25

ここ数十年のロータスで最も重要な意味を持つ、エミーラ。新時代の2シーター・スポーツを英国編集部が評価しました。

グランドツアラーでありスポーツカー

このクルマが持つ意味は大きい。エミーラは、ロータスが生産する最後の内燃エンジン・スポーツカーだ。5年前に中国のコングロマリット、ジーリー・ホールディングス社がブランドを買収して以来、初の新モデルとなる。

エミーラの前身に当たるのは、2+2クーペだったエヴォーラ。極上のドライビング体験を与えてくれたグランドツアラーだったが、それ以外のモデルほど、多くの人からは愛されなかった。

ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)
ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)

だが、2シーター・スポーツのエリーゼとエキシージも、既に生産を終えている。エミーラは、それらを愛した層からも多くの関心を集めているはず。

実際のところ、2シーターのエミーラは当初、ルーフの付いたエリーゼのようなスポーツカーが目指されていたようだ。最終的には、パワフルなV6エンジンを搭載したハイパフォーマンス・モデルへ変わっていった。

グランドツアラーとスポーツカー、両方をカバーするモデルといえる。いい換えるなら、ポルシェ718ケイマンに並ぶクルマが目指されたともいえる。

エミーラが採用したエンジンは、エヴォーラも積んでいたトヨタ由来の3.5L V6ガソリン。ロータスが独自に手を加え、スーパーチャージャーを搭載し、最高出力405ps/6800rpm、最大トルク42.78kg-m/2700rpmを発揮する。

トランスミッションは、6速マニュアルか6速オートマティックが選べる。試乗車は前者だった。

アルミの押出成形材を接着したシャシー

現在注文できるエミーラは、ファーストエディションという初回限定仕様のみ。英国価格は、7万5995ポンド(約1238万円)からとなっている。

内燃エンジンとしては、メルセデスAMGが提供する2.0L 4気筒ターボガソリンも、2022年末から選べるようになる。こちらは最高出力365psを発揮し、8速デュアルクラッチATのみが組み合される。

ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)
ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)

シャシーは、これまでのロータスにも通じる、押出成形材を接着したアルミニウム製。設計自体は新しく、寸法もこれまでと共通する部分はないという。英国東部、ノリッジに用意された新工場で製造されている。

エヴォーラの場合、ドライビングポジションがややオフセットしていたが、新設計ということで改善されている。エミーラの車内空間は想像以上に広く、サイドシルも低い。乗り降りしやすくなった。

今回ロータスが用意したエミーラは、かなり最終形に近いプロトタイプ。インテリアの品質には目をつぶって欲しいと、担当者に念押しされた。確かに少し波打ったレザーの仕立てや、薄暗いモニターなど、幾つか気になる点が残っていた。

しかし、心配はいらないだろう。たとえ量産前の状態でも、パネル類の組付け品質や各部の仕上げなど、知覚品質は直近の同社の量産モデルより既に優れている。エヴォーラにも施されていれば歓迎されたであろう、豪華さも感じる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

期待通りに新しく伝統的 ロータス・エミーラへ試乗 アルミシャシーに3.5L V6の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

ロータスの人気画像