期待通りに新しく伝統的 ロータス・エミーラへ試乗 アルミシャシーに3.5L V6 後編

公開 : 2022.06.13 08:26

ここ数十年のロータスで最も重要な意味を持つ、エミーラ。新時代の2シーター・スポーツを英国編集部が評価しました。

熱狂的に吹け上がるV6エンジン

最新モデルらしく、ロータスエミーラはテクノロジーも充実している。リミッター付きのアダプティブ・クルーズコントロールや、交通標識認識機能、バック時のブラインドスポット・モニターなどが付いてくる。キーレス・スタートも備わる。

複数の自動車メーカーと同じ傘下にある、というメリットの1つだ。しかし、スタートボタンをうっかり押さないように掛けられた赤いカバーに、サーキットを積極的に走りたいというロータス独自の魂を感じる。

ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)
ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)

キャビンとエンジンルームを仕切るバルクヘッドのガラス越しに、スーパーチャージャーのバイパス・アクチュエーターがチラ見えする。エンジンの上部には、金属製のカバーが掛けられている。プラスティック製ではなく、見た目も良い。

エミーラを発進させてみる。最初の50mでクルマの第一印象は左右されるが、V6エンジンは熱狂的に吹け上がる。むしろエンジンの回転数を正確に操ることが、若干難しく感じられた。つい必要以上に回してしまう。

乗り心地は、素晴らしく落ち着いている。油圧ラックを登用した、パワーステアリングの重み付けも良い。

アルピーヌA110が備えるような、即時的な瞬発力と、飛ぶように優雅に走る印象は得ていない。A110の車重が1105kgなのに対し、エミーラは1440kgもあるためだろう。少なくともロータスは、競合するクラスでは最軽量だと主張している。

ドライバーズカーとしてほぼ完璧

試乗車には、穏やかなツーリング・サスペンションが備わっていた。英国の公道では、低い速度域でも傷んだ路面からの衝撃を巧みに吸収しているのがわかる。引き締められたスポーツ・サスペンションも、オプションで選べるという。

履いていたタイヤはグッドイヤー・イーグルで、サイズは20インチ。フロントが245/35、リアが295/30だった。ただし、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2の方がエミーラとの相性は良いと、ロータスは説明していた。

ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)
ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(英国仕様)

速度域を高めたクルージングでも、乗り心地の良さは維持される。風切り音やロードノイズは小さくないが、長距離を快適に移動できるロータスだといえそうだ。筆者は、これ以上サスペンションを硬くしたいとは思わなかった。

ドライブモードは複数から選べる。だが、ステアリングとダンパーの設定は変わらない。

このエミーラにはドライバーズ・パッケージが装備され、スタビリティ制御が変わるサーキット向けのトラック・モードが追加されていた。また、美声を奏でるエグゾーストとリミテッドスリップ・デフも付いてくる。

チャレンジングなワインディングにエミーラを進めると、最高のスポーツカーだということが見えてくる。ドライバーズカーとして、ほぼ完璧といえそうだ。

片方のタイヤへ強い負荷がかかるような、きついコーナーや路面のカント角が変化する区間では、本物のロータスだと実感する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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