【詳細データテスト】レンジローバー 驚くほどの静粛性 大きさが苦にならない視認性 想像以上に俊敏

公開 : 2022.07.23 20:25

オン/オフどちらでも最高のクルマであることが求められるレンジローバーは、抜群の視認性で巨体でも取り回しがよく、静粛性は驚くほど高レベル。車体が重く、ブレーキ性能に不足を感じるものの、文句なしのクラストップです。

はじめに

レンジローバーの5代目が登場した。もし、抜本的な見直しの必要がないと思えるクルマがあったとしたら、それこそレンジローバーだろう。

50年以上にわたって、レンジローバーがやってきたことはシンプルだ。最高のオフロード性能と豪華さを組み合わせるのである。それこそ、ランドローバーが生み出したテーマだと主張しているものだ。

テスト車:レンジローバーD350 HSE
テスト車:レンジローバーD350 HSE    LUC LACEY

そうして、どこへでも行けるクルマの伝統が生まれた。朝方に農場のフェンスをチェックしに行って、それから買い物や子供の送り迎えをして、夜にはオペラを観に行く。一日中、すべての用事を1台で済ますことができる。

疑問はいくつかある。それが現代においても必要なのか、もし必要だとしても、本当にそういう使われ方をしているクルマはいったいどれくらいあるのだろうか。ランドローバーは130カ国で車両を販売しているが、ニーズも国土の広さもまちまちだ。

ひと目見てわかることだが、最新のレンジローバーは大きなクルマだ。最低でも全長は5mを、全幅は2mを超える。今回テストするのが、まさにその仕様だ。

D350というのは、350psを発生するディーゼルの最上位機種だが、レンジローバーのラインナップ全体を見れば下位にあたる。もっとも、HSEグレードにオプションをいくつか追加すれば、価格は12万4245ポンド(約2050万円)に達してしまう。

さらに、上は際限がない。車体は今回の通常サイズに加え、ロングホイールベースが設定される。ガソリンエンジンのラインナップも数多く、さらに驚くような性能を発揮する。加えて、SVOことスペシャルヴィークルオペレーションにオーダーすることも可能だ。

レンジローバーは、単にハイエンドSUVだというだけではなく、高級車であることも求められるクルマだ。このテストでは、そうしたあらゆる要素を、ほかにないほど厳しく検証していこうと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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