【詳細データテスト】レンジローバー 驚くほどの静粛性 大きさが苦にならない視認性 想像以上に俊敏

公開 : 2022.07.23 20:25  更新 : 2022.08.23 06:26

快適性/静粛性 ★★★★★★★★★★

静粛性は、レンジローバーの大きな強みだ。ヘッドレストに内蔵されたアンチノイズのノイズキャンセル機能によるところもあるが、物理的なキャビンの遮音性をかなりがんばった結果でもあるはずだ。

アイドリングでは、このクルマの直6ディーゼルは、暗騒音以上のノイズをキャビンに送り込んではこない。路面が湿っていることを考慮した上で、できるだけ全速力を出してみても、わずかに音が大きくなるだけだ。

ありがたいのは、エンジンルームや路面から集中力を削ぐような入力がないことだ。速度を上げても静かで、路面からのショックやボディの無駄な動きも感じられない。
ありがたいのは、エンジンルームや路面から集中力を削ぐような入力がないことだ。速度を上げても静かで、路面からのショックやボディの無駄な動きも感じられない。    LUC LACEY

あるテスターが、ドライ路面で試乗した際に持ち込んだ、メモ代わりのボイスレコーダーを聴かせてもらったときも驚かされた。「いま97km/hで走っている」とコメントしている背景のノイズは、50km/h以下で走っているときとなんら変わらないのだから。

ロールス・ロイスのSUVでも、もしこれより静かだったとしたら、驚くだろうというくらいの静粛性だ。サセックスに心ある人がいて、以前にテストしたブラックバッジより静かな仕様を貸してくれるなら、きっちり計測して答えを出したいところだ。

乗り心地はまるで、路面の隆起を簡単に掃き清めてしまったよう。ジャガーランドローバーは、開発のすべてを等しく適切に行ったとはいえないかもしれない。しかし、緩やかなアキュラシーや操縦系のリニアなレスポンス、シャシーの手際のよさに関していえば、ほかのメーカーを含めても、とくにこれほど大きなクルマで、ここまで完璧なものはほとんどない。ベントレーベンテイガでも、ここまでではないと断言できる。

路面不整やキャッツアイ、ジョイントを乗り越えると、音でそれとわかっても、22インチホイールを履いていてさえ、身体に感じるショックはない。どこか遠くで、押し殺した衝撃音がする、という感じだ。

それでいて、抑えの効いていない浮き上がりやピッチ、揺れも起きない。気持ちいいほど落ち着いたボディの挙動は、このクルマの快適性の大きな部分を占めている。少なくとも今回の仕様なら、レンジローバーはこのうえなく正しく適切に仕上がったといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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