【詳細データテスト】レンジローバー 驚くほどの静粛性 大きさが苦にならない視認性 想像以上に俊敏

公開 : 2022.07.23 20:25  更新 : 2022.08.23 06:26

走り ★★★★★★★★☆☆

6気筒ディーゼルのインジニウムユニットがいかに静かなのかはこの後詳しく紹介するが、注目に値するのは、350ps/71.3kg-mのスペックがもたらすパフォーマンスは、普通にドライビングしていると、しばしば活発さを感じさせずに発揮されることだ。

満タンで2667kgに達するテスト車では、パワートレインに多くを求めることも多いが、そうした場合でさえ、スムースで控えめだ。さらに2名乗車してのゼロスタートは、0−97km/h加速が6.3秒。公称値にはやや及ばないが、それでも十分速く性能は高い。

2.6tを超えるクルマでありながら、エンジンが苦しそうなところを見せることなくスムースに加速する。一方、ブレーキ性能には物足りなさを感じる。
2.6tを超えるクルマでありながら、エンジンが苦しそうなところを見せることなくスムースに加速する。一方、ブレーキ性能には物足りなさを感じる。    LUC LACEY

レスポンスもスムースだ。パドルシフトでのギアセレクトもしやすい。スロットルのトラベルは長く、キックダウンは予期しやすいので、自動変速にしていても意のままに走れる。

もっとゆったり走れば、どのギアに入っているかまず気づかせない。ソフトもハードも、このサイズのクルマとしては世界最高レベルの燃費を実現するもので、エンジンを酷使したり、洗練性を損なったりすることなく、この上なく賢明に高いギアを選んでくれる。113km/h巡航では、8速で1550rpmしか回さないので、じつに慎み深い感じを保つ。

ブレーキ性能はそれほど際立っていない。ドライ路面で試すことができなかったことは不運だったが、それにしても、97−0km/hの3.67秒というタイムも、113−0km/hに要した66.2mという距離も物足りない。

前回、2.5t以上の車両を湿ったコースで試したケースを思い返すと、BMW iXのテストまで遡るのだが、そのときは気温が7℃しかなかったにもかかわらず、同様の制動試験で3.42秒と57.8mをマークしている。

もっとも、レンジローバーはオールシーズンタイヤ、BMWはグリップに勝るオンロードタイヤを履いていたというのも、多少は影響しているだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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