【詳細データテスト】レンジローバー 驚くほどの静粛性 大きさが苦にならない視認性 想像以上に俊敏

公開 : 2022.07.23 20:25  更新 : 2022.08.23 06:26

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

新型レンジローバーは、MLAフレックスと銘打った、アルミ素材が80%を占めるプラットフォームを使用する。しかし実質的には、ランドローバー各車と可能な限り多くのコンポーネンツを共用している。部分的、もしくは全面的な電動化にも、もちろん内燃エンジンにも対応する。なお、今回のD350を含め、内燃エンジンのほとんどはマイルドハイブリッド化されている。EV仕様は2024年登場の予定だ。

CピラーとDピラーの部分には、ボディを取り囲むようなスティールの環状構造が用いられる。Aピラー下のボディ下部と、フロントドア開口部のエッジ周りも、同様の補強が入る。静的ねじり剛性は3万3000N/degで、先代比50%アップしている。

エンジンラインナップは幅広く、MHEVやPHEVも揃えるが、さらに2年後にはEVも加わる予定だ。
エンジンラインナップは幅広く、MHEVやPHEVも揃えるが、さらに2年後にはEVも加わる予定だ。    LUC LACEY

サスペンションはエアスプリングで、コイルは選択肢にない。オフロードなどでは車高を135mm上昇し、乗降時には50mmダウンすることができる。フロントはダブルウィッシュボーンで、リアは5リンク。48V駆動のアクティブスタビライザーも標準装備で、ナビのデータにより前方のコーナーを検知し、先読み制御を行う。

さらに、アクティブ四輪操舵も標準装備。低速では前輪と逆位相に最大7.3°転舵し、小型ファミリーカー並みの最小回転半径を実現する。ターンインで効果を発揮するブレーキでのトルクベクタリングや、電子制御LSDも全車に備わる。

オフロード走行に関しては、テレインレスポンスIIを採用。ドライブトレインやトラクションコントロール、スタビリティコントロール、サスペンションの制御を、路面や地形に応じて変更できる。

改めていうが、これは大きなクルマだ。これまでもそうだったが、今回は標準ボディでも全長は5052mm、ホイールベースは2997mmもあり、ロングホイールベースはさらに200mm長い。それでも、5141mmのベントレーベンテイガや5151mmのBMW X7には及ばない。

全幅も広い。ミラー格納時で2047mm、展開すると2225mmに達する。しかし、過去のランドローバー各車は、ライバルよりはるかに優れた視認性で、幅の広さを多少なりとも埋め合わせてきた。

エンジンのラインナップは、現時点でも幅広いが、さらに広がりそうだ。機種名は、使用燃料と出力の組み合わせで、ガソリンマイルドハイブリッドのP360とP400、V8ガソリンのP530、ディーゼルマイルドハイブリッドのD250/D300/D350を設定。さらに、ガソリンPHEVも、P440eとP510eの2タイプが用意される。

トランスミッションは、全車ともZF製の8速トルクコンバーターATで、より過酷なオフロード走行に備えてローレンジの副変速機が搭載される。もちろん四輪駆動だが、気温3℃以上において、19〜161km/hで舗装路を走行する際には二駆となり、CO2排出量を4g/km削減する。

それでも、エミッションが低いとは言い難い。Cd値は0.30で、エアフローはスムースかもしれないが、ボディはワイドな上に1870mmの高さもあって、空気抵抗は小さくない。結果、D350の燃費は12.6km/L、CO2排出量は207g/kmとなっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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