【詳細データテスト】レンジローバー 驚くほどの静粛性 大きさが苦にならない視認性 想像以上に俊敏

公開 : 2022.07.23 20:25  更新 : 2022.08.23 06:26

内装 ★★★★★★★★★☆

インテリアには、L322こと2002年登場の3代目からはじまったテーマがそこはかとなく感じられる。ダッシュボードは、横方向の大きな塊を、縦方向のエレメントが2等分していて、ヨットなどにインスピレーションを得たスタイルとなっている。

ただし、過去のモデルほどそれが明確には感じられない。それはダッシュボードのなかほどに、新たに13.1インチのタッチ式ディスプレイが浮かぶように設置されていることも一因だ。それでも、考え方は変わらない。高級感や古典的なテイスト、流行に流されない感じをもたらしている。

インテリアのデザインテイストは、3代目から続くテーマを感じさせる。走りに集中するようなドライビングポジションではないが、運転環境は寛容で心地よい。
インテリアのデザインテイストは、3代目から続くテーマを感じさせる。走りに集中するようなドライビングポジションではないが、運転環境は寛容で心地よい。    LUC LACEY

シートに深くゆったり座ると、操縦系がしっくりくる。スポーツカーのようにドライバーフォーカス傾向を追求したコクピットとは、まったく違う運転環境だ。

それがむしろ、どこをとっても心地いい。シートは大柄でフラットだが、調整範囲は非常に広い。ドライビングポジションは高く、立ち気味で、大きなステアリングホイールやペダルに対して真正面に座らされる。

シフトセレクターはずんぐりとしていて大きく、どことなくパワーボートのスロットルレバーに見えなくもない。その隣にあるテレインレスポンスの切り替えノブは、トランスミッショントンネルへスッキリと押し込むことができる。小物入れとカップホルダーにはカバーがつき、使わないときには隠しておける。

ちょっと残念だったのは、アルミ調のパネルが反射した光が目に入りやすいこと。また、音量調整ノブがないことも惜しまれる。それがあれば、インフォテインメントシステムがもっと使いやすくなったのだが。

デジタルのメーター類は鮮明だ。ステアリングホイールのスイッチはフィジカルなボタンではなくタッチパネルだが、ミスタッチしやすいものではない。マテリアルの質感とフィッティングや仕上げは、10万ポンド(約1650万円)以上の車両価格に見合ったものだ。

後席スペースも広々としており、ロングホイールベース仕様には7シーターも設定されるが、中心となるのは5シーター。SVOにオーダーすれば、電動テーブルや冷蔵庫などを装備する4シーターも製作できる。

おそらく、使いやすさを高めてくれるのは、上下分割式を歴代モデルから引き続き採用したテールゲートだ。下段は手前に倒れて、ピクニックテーブルや椅子の代わりにもなるし、上段はひさしになる。リアシートは電動分割可倒式で、荷室フロアのディバイダーを背もたれにすることもできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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