【詳細データテスト】ポルシェ・カイエン 圧倒的な速さ 車重に負けないグリップ 快適性と装備は不満

公開 : 2022.07.30 20:25  更新 : 2022.08.22 15:06

スーパーSUVの王座争いに、ポルシェが満を持して参戦。カイエン・クーペに設定されたターボGTは、ウルスをも凌ぐ加速性能の持ち主でした。運動性能もハイレベル。しかし高級SUVとしては、装備や質感に不足があります。

はじめに

ポルシェカイエン・ターボは、2000年代最初の10年間で、もっとも賛否が別れたクルマではないだろうか。しかし、もしこのクルマが、2002年以来向けられてきた批判的な意見をすべてかいくぐり、強烈なアンチの存在をものともせず、明らかに利幅の大きいビジネスモデルを確立していなかったら、今のマーケットの状況は多少なりとも変わっていたかもしれない。

はたしてランボルギーニウルスベントレーベンテイガロールス・ロイスカリナンが続き、ハイパフォーマンスSUVのカテゴリーが成立していただろうか。さらには、プロサングエなる車名が取り沙汰されているフェラーリのSUVは、生まれることがなかったかもしれない。

テスト車:ポルシェ・カイエン・ターボGT
テスト車:ポルシェ・カイエン・ターボGT    MAX EDLESTON

つまりこのクルマは、経済的に余裕のあるひとびとが、本格的に速くラグジュアリーなSUVに高額な出費をいとわないという事実の、揺るぎない確証を示した最初の例だといえる。そして今回テストするのは、そのカテゴリーのトップを奪回するために投入されたモデルだ。

このカイエン・ターボGTは、カイエンのラインナップにおける新たな最強グレードだ。ルーフを低めたカイエン・クーペにのみ設定され、アクティブ制御のサスペンションや四輪操舵、先進技術を備えたブレーキといった、これより下位のグレードではオプションとなるアイテムも標準装備。さらには、数多くのシステムが全面的に改修され、大幅にアップグレードされたV8エンジンを搭載する。

これは、カイエンのダイナミクスに関するポテンシャルを、フルに引き出すことを目指したクルマだ。狙い通りになれば、欧州の高級車ブランドを震え上がらせる存在となるはずだ。

われわれとしては、はたしてポルシェが、2.3tもの高級SUVのハンドリングをいかに仕上げたか、また、加速や制動などのタイムはどれほどのものか、それを徹底的に確かめたい。驚きの数字をお見せすることになるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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