クルマ業界最大のライバル関係 20選 切っても切れない腐れ縁? 永遠の「好敵手」

公開 : 2022.08.06 18:05

メルセデスとBMW、フェラーリとランボルギーニ、トヨタ・カムリとホンダ・アコードなど、激しい競争を繰り広げてきた「ライバル」たち。時に争い、時に尊敬し合う、切っても切れない関係を紹介します。

時に争い、時に尊敬し合うライバルたち

自動車業界はもともと競争が激しいが、一部の自動車メーカーには、「あの会社には絶対に負けられない」というライバルが存在する。時に、そうした関係が業界全体を発展させるものだ。

レースがきっかけで対立が表面化することも多く、ファンはどちらかに肩入れして対立をエスカレートさせる傾向がある。とはいえ、メーカーはお互いに忌み嫌っているだけではない(例外もあるだろうが)。中には、他の誰よりも相手を尊敬し、恐れを抱くこともある。

競争相手がいるからこそ新しい製品が生まれ、技術も進歩していく。
競争相手がいるからこそ新しい製品が生まれ、技術も進歩していく。

ライバル関係というのは企業に切磋琢磨を強いることになるので、結果的には良いことなのである。

今回は、自動車業界がこれまでに経験してきた中で、大規模かつ長きにわたる対立の数々を紹介したい。企業同士、モデル同士の関係性も見えてくるだろう。その中には、比較的おだやかなものもあるが、非常に熾烈なものもある。

ベントレー vs ロールス・ロイス

ロールス・ロイスは1931年から1998年までベントレーという会社を所有していたため、両社は友好的に競争し、部品を共有することも多かった。1980年に英国の防衛装備品メーカー、ヴィッカースが両社を買収した後、ベントレーはスポーティな方向へと進み始めたが、1998年にフォルクスワーゲン帝国に加わるまでは、両社が道を違えることはなかった。

ロールス・ロイスも一時はフォルクスワーゲンの傘下にあったが、「ロールス・ロイス」の名称(現在も航空機用エンジンを製造している会社が所有している)に関する複雑な取引を経て、BMWの下へ馳せ参じることに。

ロールス・ロイス・ファントム
ロールス・ロイス・ファントム

分裂から22年。英国のラグジュアリーブランドを象徴する2社は、激戦区であるSUV市場をはじめ、多くのセグメントで激しい競争を繰り広げている。ベントレーのミュルザンヌとロールス・ロイスのファントムは、世界で最も豪華な4ドアモデルの1つとして名を馳せたが、前者はもうすでに引退してしまった。後継としてSUVが現れるかもしれないが、少なくとも今のところは、ファントムの一強である。

BMW vs メルセデス・ベンツ

BMWとメルセデス・ベンツは、数十年にわたり、それぞれ異なる路線を歩んできた。BMWは気性の荒いファミリーカーを製造し、レースにも参加。一方のメルセデスはラグジュアリー・セグメントで活躍し、世界のエリートが乗る巨大なリムジンを製造することでそのイメージを高めてきた。

中国の指導者、毛沢東はBMWのターボでコーナリングを楽しむことはなかったが、メルセデスの600プルマンでパレードを嗜んでいる。1980年代、BMWが高級志向を強め、メルセデスもスポーティさを取り込むようになると、デタント(緊張緩和)の時代は終わりを告げる。

BMW vs メルセデス・ベンツ
BMW vs メルセデス・ベンツ

1975年に登場したメルセデス・ベンツW123と、1981年のBMW 5シリーズ(E28)は、同じ部屋の中でも対極の位置に座っており、少しずつ目線が合うようになる(ハートではなく火花が散る)。その後継である1985年のW124と1987年のE34は、重なり合うところがさらに多く、座布団を取り合うこともしばしば。この一触即発のライバル関係は2020年代に入ってからも続いており、両社を隔てる境界線はかつてないほど曖昧になっている。

しかし、2019年、メルセデスの親会社であるダイムラーとBMWはカーシェアリング事業を統合し、自動運転技術の開発で協力する計画を発表した。カーシェアリング事業は2022年5月にステランティスへ売却され、自動運転の開発も凍結されたままだが、一時的にも両者が手を組んだという事実は面白い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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