シトロエン・アミ 詳細データテスト 思ったより楽しいハンドリング 想定より短い航続距離 うるさい

公開 : 2023.01.21 20:25  更新 : 2023.02.13 07:12

意匠と技術 ★★★★★★☆☆☆☆

市販車が、ベースになったコンセプトカーほどかっこいいものではないことはよくある。しかし、このアミに関していえば、最低限のものがあれば十分だという考えが明確に見て取れる。グルメよりも、チーズをはさんだパンがあれば十分、といったところだ。

コストを抑えたアミのパーツには、そのコンセプトがはっきりあらわれている。ドアは左右共通で、左ハンドルの運転席側は後ヒンジ、助手席側は前ヒンジとなっている。ボディパネルも前後共通で、クオーターウインドウもすべて同じもの。クオーターパネルは前後左右とも交換できる。前後で異なるのは、ライトの色とルーフ形状、前後のガラス形状くらいだ。

助手席側のドアを開けると、ボディ側のドアキャッチ下に充電ケーブルが収まっている。スペース効率を追求した設計だ。
助手席側のドアを開けると、ボディ側のドアキャッチ下に充電ケーブルが収まっている。スペース効率を追求した設計だ。    MAX EDLESTON

ボディの素材はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、いわゆるABS樹脂だ。レゴから配管まで様々な用途で使われる素材だが、アミのボディの質感は、積み重ねできるプラスティック椅子のようだ。それを支えるのはスティールのフレーム。生産するのはプジョー208の製造ラインがある、ステランティスのモロッコ・ケニトラ工場だ。

全長は2.41m、全幅は1.39mとコンパクト。ミニカーには重量によってふたつのタイプに分類され、適合する法規がわずかながら異なるが、電動のアミはその重いほうに属する。あくまでも、相対的なものだが。

バッテリーは5.5kWhで、電気モーターの出力は8.15ps。標準仕様の重量は471kg、ラゲッジルームを広げる内装を用いるマイ・アミ・カーゴは478kgとなる。モーターは1速リダクションギアを介して前輪を駆動。ブレーキはフロントがディスク、リアがディスクだ。

バッテリーが非常に小さいので、急速充電には対応しない。欧州では2ピン普通充電で、3ピンアダプターやタイプ2コンバーターも使用できる。充電ケーブルは、助手席側ドアの開口部後方にきっちり収まる。家庭用電源での0〜100%チャージは、実測で3時間15分。公称の航続距離は74kmだ。最高速度は、法規により45km/hに制限されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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