シトロエン・アミ 詳細データテスト 思ったより楽しいハンドリング 想定より短い航続距離 うるさい

公開 : 2023.01.21 20:25

内装 ★★★★★★★☆☆☆

キーは、ドアロック用とイグニッション用が別に用意されている。ドアは容易に、広く開くことができる。そして、この上なく軽い。低く小さなクルマなので、乗降性は普通のクルマより悪い。とはいえ、駐車スペースの余地は大きいので、乗り降りに支障はない。

室内にはシートがふたつあり、左側にステアリングホイール。そして、外装以上にプラスティックが剥き出しだ。

インテリアはきわめてシンプルで、シートは運転席のみスライドが備わる。コラムレバーは1本のみで、ウインカーとワイパー、クラクションの操作をまかなう。
インテリアはきわめてシンプルで、シートは運転席のみスライドが備わる。コラムレバーは1本のみで、ウインカーとワイパー、クラクションの操作をまかなう。    MAX EDLESTON

装備は控えめなベーシックカーだが、インテリアについては高級車以上に語ることになる。もちろん、この後の動力性能に関する項目が短くならざるを得ないのも理由だが、語るべきことが車内くらいにしかないというのも正直なところだ。

路面から乗り込むまでに歩数はいらず、座ったら走り出すだけ。プライベートなモビリティとしてはこの上なくピュア。そこには好ましさを覚える。

ふたつのシートは硬く、運転席のみ前後にスライドできる。リクライニングはなく、ステアリングコラムもふたつのペダルも固定式。ワイパーとウインカーの操作は1本のレバーで、スイッチはハザード/ファン/ヒーターの3つだ。

ルームミラーはなく、ドアミラーは丸い小さなものが左右にひとつずつ。その調整をするには、半分だけ開く窓から手を出せば左右とも届く。その窓は、2CVのように、掛け金を外して上へ跳ね上げる。

頭上には、事故の際に頭をぶつけたくないようなスティールを溶接したフレームが見える。それも、驚くほど近くにだ。ミニカーは、普通車のようなクラッシュテストを行う義務がない。

キーを捻ったら、ドライバーは目を左下に落とすと、シートの側にシフトセレクターのボタンが見つかる。ポジションはドライブ/ニュートラル/リバースだ。その反対側には一般的な機械式ハンドブレーキのレバー。操縦系は、それでほぼすべてだ。

しかし、ダッシュボードには携帯電話のホルダーとUSBポートが設置される。そしてステアリングホイールには、オプションでファイナルボタンが装備できる。正しくセットアップできれば、携帯電話の音声操作ができるので、画面に触れなくても操作できるようになる。

ダッシュボード上の小物入れは脱着式で、色を変えるのも簡単。ただし、標準装着品はドアポケット代わりのネットの縁取りや、ファブリックのドアハンドルとコーディネートされている。

助手席の足元には、ネットで仕切られた積載スペースがあり、手荷物サイズのバッグくらいは収まる。しかし、その上のフックなしには、荷物のグラ付きを防げない。フロアがフラットでほぼさえぎるものがないことを考えると、運転席の足元に転がってしまいそうなものを無造作に置くのは避けたほうがいい。

シートの背後には、600×300×260mmのスペースがあるが、せいぜい買い物袋が置けるくらいの広さ。リアウインドウは固定されているので、長尺物を積むのは難しい。

シトロエンは多くのアミが、市街地でのデリバリーに使われると見込んでいる。カーゴパックを選んだ場合の積載重量は95kgで、助手席部分が260Lの荷室になり、運転席側へ荷物が崩れてこないように仕切りが備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事