最大の弱点はABC メルセデス・ベンツCL(C215型) 英国版中古車ガイド 精悍なビッグクーペ

公開 : 2023.03.02 08:25

当時最先端の技術が投入された優雅なビッグクーペ、CLクラス。お手頃価格で取引される2代目の魅力を、英編集部が振り返ります。

V8とV12が選べた精悍で優雅なクーペ

精悍で優雅なスタイリングに身を包んだ、2代目のC215型メルセデス・ベンツCLクラス。いくつかの弱点を見逃せるほど、今でもその容姿には訴求力があると思う。当時のSクラスをベースに生み出され、他に類を見ないほど上質に道を進んだ。

このC215型が発表されたのは、1999年のジュネーブ・モーターショー。先進的なサスペンションを標準で備え、新世代といえる上級なドライビング体験を提供した。

メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)
メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)

それはアクティブ・ボディコントロール(ABC)と呼ばれる技術で、ボディロールを抑え込み、快適性や操縦性を向上。安定したコーナリングを実現しつつ、優れた乗り心地を両立させ、運転中の疲労を低減していた。しかし、アキレス腱でもあった。

エンジンのラインナップは魅力的。初期型のCL 500は306psの自然吸気V型8気筒を、CL 600は367psを発揮する自然吸気V型12気筒を積んだ。どちらにもAMG仕様が存在し、CL 55は360ps、CL 63では440psへパワーアップされている。

いずれのエンジンでもCLの見た目に相応しい、ラグジュアリーでコンフォートな質感でドライバーを魅了した。ベーシックなCL 500でも、パワー不足は感じないだろう。

沢山の最先端技術 限定のF1エディションも

2002年にフェイスリフトが施され、CL 600はツインターボ化で500psへ増強。CL 55 AMGもスーパーチャージャーで過給し500psを獲得した。最高出力ではCL 600と同等だが、より豪快に回りスポーティさでは勝る。

2003年には最強のCLクラスとして、CL 65 AMGが登場。V12ツインターボで611psという圧巻の能力が与えられている。その当時はサルーンのS 65と並び、メルセデス・ベンツが量産した過去最強モデルに君臨した。

メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/欧州仕様)

普段使いが前提となる、この価格帯のクーペを選ぶオーナーを満たすべく、最先端技術もふんだんに盛り込まれている。スタビリティ・コントロールやラクション・コントロール、ブレーキアシスト、空気圧監視システムなどで安全性が担保されていた。

インテリアは全面がレザーで覆われ、美しいウッドパネルがあしらわれ、高級感も非常に高い。当時は新しかった、キーレスエントリーも装備されていた。リアシートの空間は限定的だけれど。

CL 55 AMGは、2000年にF1のセーフティカーとして活躍している。それを記念した55台の限定仕様、F1エディションが発売されている。英国にも少数が上陸した。

このF1エディションでは、一部にベンチレーテッド・セラミックブレーキとスポーティなシート、AMGステアリングホイールなどが与えられている。ダッシュボードにF1リミテッド・エディションと記されているから、見分けやすいはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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