ルノー・オーストラル 詳細データテスト 上質なパワートレイン 広く質感の高い室内 4WSは要改善

公開 : 2023.07.29 20:25  更新 : 2023.08.11 18:20

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

オーストラルはカジャーの後継モデルとなるが、ヴィジュアルもメカニズムもまったく異なる。全長は52mm伸び、全幅は7mm広い。メガーヌEVからはじまった新たなファミリールックは、歯切れのいいラインと、C字型ヘッドライトを備え、大径ホイールを履く。

E−テック・ハイブリッドと銘打たれたパワートレインは、クリオやキャプチャー、アルカナ、また従来型メガーヌにも採用されている。それらのエンジンは1.6L直4自然吸気、トランスミッションは4速だ。オーストラルのそれはアップグレード版で、より大きく重いクルマに適した仕様。初期型で得たいくつかの教訓が活かされている。

英国以外では、3気筒と4気筒のマイルドハイブリッドも設定される。PHEVも用意されるが、導入されるかは不明だ。
英国以外では、3気筒と4気筒のマイルドハイブリッドも設定される。PHEVも用意されるが、導入されるかは不明だ。    MAX EDLESTON

コンセプトこそ同じだが、各要素は軒並み進化している。エンジンはトルクを高めた131psの1.2L直3ターボで、このために開発された新型ユニットだ。電気モーターは出力が引き上げられ、バッテリーは拡大するとともにエアコンのシステムを用いた冷却系を採用し、電力での航続距離と加速の持続力が増している。

ギアボックスは、2速と3速の間に1段追加され5速に。これにより、高速道路の登り坂のような高負荷時にエンジン回転を低くできるようになった。

作動原理は、従来型と同様だ。エンジン用の5速とモーター用の2速、それぞれのトランスミッションは連携し、トータルで15の変速比が存在するのである。ルノーはこれを、マルチモードギアボックスと呼ぶ。この独特な設計により、エンジンとモーターが別々のギア比を用いるのが常態となる。実質的に、トランスミッションはふたつのギアを同時に使うことになるのだ。

クラッチがないので、エンジンは常にギアボックスと接続されていて、シンクロのないドグクラッチ式となっている。そのシフトチェンジを可能にするため、エンジン側のトランスミッションをニュートラルに入れている間に、小さいほうのモーターがエンジンとギアの回転を合わせる。また、エンジンをニュートラルにして、ジェネレーターを駆動することも可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ルノーの人気画像