アウディS5 詳細データテスト 強力で高効率なV6MHEV 完成度高いシャシー 内装の質感は不足

公開 : 2025.02.01 20:25

操舵/乗り心地 ★★★★★★★★★☆

穏やかな性格はパワートレインだけでなく、シャシーにも見られる。アウディの速いモデルには、硬い脚と不自然に重いステアリングを想像するかもしれないが、このクルマには当てはまらない。

走り出してまず気づくのは乗り心地だ。すばらしくしなやかだが、20インチホイールと35タイヤの悪影響を受けているようにはみえない。アダプティブダンパーを標準装備するS5は、脚の硬さが3段階切り替え式で、コンフォート/バランスド/ダイナミックが選べる。

フロントシートは快適だが、フォルクスワーゲングループのエルゴノミック志向なシートにサポート性で劣る。
フロントシートは快適だが、フォルクスワーゲングループのエルゴノミック志向なシートにサポート性で劣る。

奇妙なことに、コンフォートの使い勝手がもっとも悪い。それは、ボディとホイールのコントロールに、緩いセッティングの悪影響が出てしまうからだ。しかし、バランスドは、大きなバンプや荒れた路面を手際よく扱う。

S5は、リラックスしてクルージングできるクルマだ。113km/h走行時の室内ノイズは67dBAにすぎない。

アウディの運転支援機能は総じてよくできている。アダプティブクルーズコントロールはスムースでレスポンスがよく、速度超過警告やレーンキープアシストは楽にオン/オフできるショートカットが用意されている。

ただし、シートはもっとよくできたはずだ。不快なわけでも、アジャストがとくに欠けているわけでもないが、フォルクスワーゲン・パサートスコダ・シュパーブの上級仕様なら、もっと多くのことを提供してくれる。

上質な乗り心地以上に驚いたのが、ハードな走りを見せることだ。走行モードをダイナミックにすると、エキゾーストノートがわずかながら高まり、サスペンションの緩さが多少なくなる。しかし、ダンパーがもっとも硬いモードでも、極悪なB級道路を駆け抜けるに十分な追従性が保たれる。

ステアリングはかなり軽いままで、コミュニケーションに長けるほどではないが、可変レシオにもかかわらず精確で直観的。走りたいラインへクルマをきっちりと置けるし、前輪がグリップしようとしていることに自信が持てる。

V6はフロントアクスルより前へ突き出し、前後重量配分が56:44と前寄りになる原因となっているので、ターンインはBMW3シリーズのホットモデルほどダイレクトではない。それでも、雲泥の差というほど離れてはいない。

いっぽう、トルセンから多板クラッチへスイッチしたセンターデフは、明らかな後輪駆動的バランスをもたらす。速めのコーナーでパワーをかけると、走行ラインを綺麗に引き締めるのが感じられるだろう。低速コーナーでは、ESCをスポーツモードにすると、わずかながらオーバーステアに持ち込める。

全体を見ると、バランスがみごとだ。このクラスのクルマに期待される快適な乗り心地や静粛性は存分に備えつつ、走り好きなドライバーを没頭させるものも持ち、アウディが長年にわたり得意としている4WDの揺るぎないトラクションも失っていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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