アウディS5 詳細データテスト 強力で高効率なV6MHEV 完成度高いシャシー 内装の質感は不足

公開 : 2025.02.01 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

アウディがここ最近連発した新型車ニュースを見落としていたなら、このクルマの名前に驚くだろう。EVは偶数、内燃エンジン車は奇数という命名法が採用され、従来のA4はA5となった。今年中には、同じようなサイズのEVがA4として登場するはずだ。

いっぽう、従来のA5は、クーペとコンバーティブルがディスコンティニュー。実質的に新型A5は、A5スポーツバックの後継となる。というのも、リアの積載スペースを覆うのは、トラディッショナルなトランクリッドではなく、ハッチバックだからだ。

三角形や台形の要素は、スポーティなアウディのデザインを象徴するもので、A5のSラインにも採用。S5の明らかな識別点は、4本出しテールパイプだ。ローンチエディションではシルバーのトリムは、エディション1ではグロスブラックとなる。
三角形や台形の要素は、スポーティなアウディのデザインを象徴するもので、A5のSラインにも採用。S5の明らかな識別点は、4本出しテールパイプだ。ローンチエディションではシルバーのトリムは、エディション1ではグロスブラックとなる。

とはいえ、新型A5が従来のA4の後継であり、古くは80にまで遡る系譜に連なるものであるのは間違いない。コードネームはB10で、先代A4のB9に続いている。開発コストは多くがEVに割かれているので、新型A5はB9型A4から多くをキャリーオーバーしている。

プラットフォームは先代モデルのMLBの発展版で、PPCことプレミアムプラットフォーム・コンバスションと呼ばれる。内燃機関用プレミアムプラットフォームというわけで、EV用のそれは最後の1文字がエレクトリックを意味するPPEを名乗る。その大きな役割は、さまざまな電動化の程度に対応することで、新型A5は、エンジンのみのエントリーモデルから、110km以上のEV走行が可能なPHEVまでラインナップする。

電動化の具合で言えば、今回のS5に採用されたMHEVプラスは中間程度。エンジンは先代途中で追加されたディーゼルは捨て、V6ガソリンが復活した。今回は3.0L仕様となるEA839ユニットだが、基本的にはおなじみのエンジンで、旧型のS4やS5、さらにはポルシェパナメーラなどにも積まれた。以前はツインスクロールターボを組み合わせたが、今回は可変ジオメトリーターボで、低速トルクが増している。

さらに搭載する48Vハイブリッドシステムは、一般的なスターター/ジェネレーターに、ギアボックスの出力側とプロペラシャフトの間に設置した独立式のモーター/ジェネレーターを備えるもの。24ps/23.5kg-mを発生し、回生能力は最大25kW。単独で駆動力を発揮できる。

エアコンは、エンジンではなく48Vシステムから動力を得る。バッテリーは48Vシステム用としてはかなり大きく、容量は1.7kWh。頻繁なディープサイクルに耐えるよう、水冷式のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用した。

トランスミッションはこれまでの8速ATではなく、7速DCTの採用が可能になった。低速トルクが増したので、トルクコンバーターのトルク増幅作用が不要となったからだ。そして、DCTは高回転での効率に勝るというのも理由のひとつである。

シャシーは、いろいろと手が入っている。エンジニアによれば、重視したのはステアリングフィールとニュートラルなハンドリングバランス。そこで、可変レシオのプログレッシブステアリングが標準装備され、ステアリングラックはダイレクトマウントに。ブッシュは硬いものを用いた。

ブレーキは、摩擦と回生の2種のブレーキの移行をスムースにするべく、バイワイヤとされた。センターデフはトルセン式から、完全可変のクラッチ式に変更。S5は電子制御LSDと、アダプティブダンパーが標準装備される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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