初めは好評の「トンガリ」次世代 ウェッジシェイプのADO71(1) 明日も明後日も美しい?

公開 : 2025.03.09 17:45

ビニール張りの内装 速くなくてもスムーズで楽しい

アレンデンの1800は、レイランド・プリンセス&アンバサダー・エンスージャスト・クラブのメンバーによって、2014年から1年をかけてレストア済み。印象的なウェッジシェイプの容姿を、今に伝える好例といっていい。

1970年代のファミリーサルーンらしく、ニットで裏打ちされたビニールで内装は仕立てられている。新車価格は2117ポンド。時計や可動式アームレストは、その価格帯では望めない装備だった。シガーライターと、高さ調整できる運転席側シートは備わったが。

モーリス1800(1975〜1982年/英国仕様)
モーリス1800(1975〜1982年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

彼がこのモーリスを購入したきっかけは、子どもの頃の記憶にあった。「自分が小さかった頃、父がモーリス2.2 HLSに乗っていて、わたしも気に入っていたんです。この運転は楽しいですよ。速くはありませんが、とてもスムーズなんです」

「路上では、ドライバーや歩行者から、よく視線が向けられます。挨拶で、クラクションを鳴らしてくれる人もいますね。モーリスのエンブレムに、驚く人も多いです」

モーリス1800は、同時期のフォード・コンサル2000Lやヴォグゾール・ヴィクター2300などとは、だいぶ異なる見た目だったことを自分も思い出す。だいぶ斬新だった。

「ADO71のカタチは、スタイリッシュかどうかや、5分で時代遅れになるといった議論とは無縁だと思います」。オースチン・モーリス部門の技術部門トップ、チャールズ・グリフィン氏はそう語っている。

大臣の移動車両に選出 優れなかった品質

他方、ブラジルメタリック・ブラウンのADO71は、上級ブランドという位置付けだったウーズレーの2200。アンドリュー・マクアダム氏がオーナーだが、過去に23年間も放置されていたそうで、2022年にレストアを受けている。

若手弁護士でも似合うよう、エンジンは直列6気筒。ブラックのビニール・ルーフでコーディネートされ、ラジオにパワーステアリング、ティンテッドガラス、深い色味のカナレット・ウッドパネルなど豪華な装備を得つつ、価格は2999ポンドだった。

ウーズレー2200(1975〜1982年/英国仕様)
ウーズレー2200(1975〜1982年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「運転手がいなくても、ビジネスに使えます。ブリティッシュ・レイランドの成し遂げた、最高の結果の1つでしょう」。とデイリー・テレグラフ紙は報じた。ジャガーXJ6以来となる、同社による最高傑作だと評価する自動車雑誌もあったほど。

英国政府は、大臣の移動用車両として、ウーズレー2200を20台発注。優れたイメージを、広げることへ貢献した。

ところが、品質の悪さも前後して知られていった。英国車に特化したARオンラインは、品質が非常に悪いと考えている整備士がいることを、隠すことなく伝えた。1975年が終わる頃には、徐々にフォード・ディーラーへ足を向ける人が増えていった。

マクアダムは、パンフレットでうたわれた以上の魅力があると考えている。「ウーズレーは装備が充実していて、デザインコンセプトは遥かに先取りしていたと思います」

「巧みなマーケティングと、理想的なモデル名が与えられていれば、ブランドにとってルネッサンスになったかもしれません」。と熱弁する。

この続きは、ウェッジシェイプのADO71(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ウェッジシェイプのADO71の前後関係

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