【詳細データテスト】アウディE-トロンGT パフォーマンスは向上 快適性や俊敏さは改善の余地あり

公開 : 2025.04.12 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

少し前にタイカン・ターボSを、そして今回はS E−トロンGTをテストして、興味深いことがあった。どちらもJ1IIプラットフォームで、今回は油圧制御のアクティブライドコントロールと後輪操舵がない。ちなみに、RSはどちらも装備している。

そしてもちろん、E−トロンGTはハンドリングのキャラクターがアウディ的で、ポルシェのようなシャープさがない。

後輪操舵やアクティブサスがないぶん、タイカン・ターボSほど俊敏でキャラが立っていないものの、そのハンドリングはエンジン車には望めないものだ。
後輪操舵やアクティブサスがないぶん、タイカン・ターボSほど俊敏でキャラが立っていないものの、そのハンドリングはエンジン車には望めないものだ。    MAX EDLESTON

結果、この2台はまったく違うクルマに仕上がっている。2.5回転というロックトゥロックなど、根本的にステアリングは同じもので、重心の低さも効いて、どちらもエンジニアリングの優れたクルマに感じられる。

ところが、路面からの入力を吸収しつつ、路面への入力は効かせるアクティブライドコントロールの有無が、コントロールとコンプライアンスの両方に違いを生む。それを持たないE-トロンGTは、最先端の電動スーパーセダンとしてはやや後れを取っているように感じられるのだ。

アウディのアンダーステア傾向が強いバランスにより、走りは必ずしも見た目に期待するほど勇ましいものとはならない。サーキットのような場所では、ドライバーエイドを切ってしまえばスロットルで打ち消すこともできるのだが、公道を走っていると、方向転換の遅れが大きすぎる。

コーナリングはフラットだが、俊敏さや表現力は乏しい。少なくとも、シャシーにさまざまな装備を付加したタイカンとは異なる。

同時に、E−トロンGTのほうが優っているとしたら、超安定志向で落ち着いている点だろう。わざと破綻させなければ、トラクションに問題が起きることはなく、タイカンほど激しくはなくても、方向転換は同じようなサイズのICEセダンが羨むであろう能力を見せる。

記事に関わった人々

  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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