【詳細データテスト】アウディE-トロンGT パフォーマンスは向上 快適性や俊敏さは改善の余地あり

公開 : 2025.04.12 20:25

走り ★★★★★★★★☆☆

E−トロンGTのベースグレードはパワーがアップし、発進加速は公称値を上回った。0−97km/hは3.1秒と、スーパーカーに肉薄する。これは75.5kg-mものトルクをほぼ無駄なく、さらにこれが重要なのだが、即座に、路面へ伝えるシャシー性能によるものだ。

それに比べれば、161km/hに6.8秒というのは控えめ。タイカン・ターボSのアップデート版は5秒程度だ。とはいえ、S E−トロンGTは、スタートダッシュも中速域の中間加速も速く、同価格帯のガソリン車では到底及ばない。

タイカンほどではないにしろ、速さは文句なし。しかしブレーキは、ポルシェの兄弟分にかなり見劣りする。
タイカンほどではないにしろ、速さは文句なし。しかしブレーキは、ポルシェの兄弟分にかなり見劣りする。    MAX EDLESTON

ところが、未来的な合成音がもっとも目立つダイナミックモードでも、比較的ゆったりしていてドラマティックではない。穏やかに見せておいて、その実パワフルだというのはアウディらしく、セダンのようなスポーツカーというキャラクターにも合っている。

ただ、ゆるすぎるところもある。改良前にあったブレーキペダルのふわふわしたフィールは多少ながら是正されたが、タイカンに比べると踏みごたえもフィールもぜんぜん足りない。これだけのパフォーマンスを持ったクルマで、これほど欠如しているものはめったにないくらいだ。

普通に運転していれば、回生ブレーキに依存することが多いので気にならないかもしれない。しかしながら、予期せぬ急ブレーキをかけると、肝を冷やすことになる。鋳鉄ブレーキを効かせるためのペダルストロークが、思いのほか長いのだ。ほかの部分が素晴らしく頼りになるクルマにあって、これは手落ちだというべきだろう。

記事に関わった人々

  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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