イタルデザインの傑作デザイン 50選(後編) 衝撃と感動を誘う「挑戦」の数々

公開 : 2025.09.23 11:45

18/3シロン(1999年)

量産型シロンが1500ps近いパワーを発揮するのに対し、オリジナルのコンセプトモデルは6.3L W18エンジンからわずか563psしか引き出せていなかった。その結果、最高速度はわずか330km/h、0- 97km/h加速は5.3秒にとどまった。このデザインはジョルジェット・ジウジアーロの息子ファブリツィオと、アウディの元デザイン責任者ハルトムート・ヴァルクスが共同で手掛けた。

18/3シロン(1999年)
18/3シロン(1999年)

ブラン(2000年)

高級ハッチバックは決して主流ではなかったが、イタルデザインはこの分野への参入を試みた。最高出力370psのマセラティ製3.2L V8エンジンを搭載したブランは、全長5m近くあり、スライド式のリアサイドドアを備え、汎用性を最大限に考慮して設計されたキャビンが特徴だった。乗員が次の会議へと高速で移動している間、車内をオフィスとしても使うことができた。

ブラン(2000年)
ブラン(2000年)

アストン マーティン20/20(2001年)

賛否両論のクルマがあるとすれば、それはこのアストン マーティン20/20だ。DB7ヴァンテージの外観をさらに磨こうとしたワンオフモデルだが、それは容易なことではなく、イタルデザインは実現できなかったと言っても過言ではない。2001年のジュネーブ・モーターショーでデビューし、ボディは押し出し成形アルミニウム、プラスチック、カーボンファイバーでできており、6.0 L V12エンジンを搭載していた。

アストン マーティン20/20(2001年)
アストン マーティン20/20(2001年)

モレイ(2003年)

コルベットのデビュー50周年を記念して作られたモレイは、非常に見栄えの良いクルマだった。その魅力は、滑らかなノーズデザインとドーム型のルーフ、そしてサイドウィンドウに組み込まれたガルウィング機構によるものだ。これらのウィンドウを取り外すと、強度を確保するため中央に1本のアーチが残るものの、コンバーチブルへと変貌する。パワーユニットは最高出力400psの6.0L V8エンジンだった。

モレイ(2003年)
モレイ(2003年)

クーバン(2003年)

クーバンという名前は、後にレヴァンテへと発展する2011年のコンセプトカーでも再び採用されることになるが、これはその原型となるSUVであり、外観はそれほどシャープではない。イタルデザインはダイナミクスに注意を払い、従来のSUVに比べ重心を100mm低くし、マセラティらしいパフォーマンスを確保するために最高出力390psのV8エンジンを搭載した。クーバンは、フルタイム四輪駆動を採用しながらも、オンロードでの使用を想定して設計された。名前はジャワの風にちなんだものだ。

クーバン(2003年)
クーバン(2003年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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