歴史に埋もれた米国車 40選(後編) 地味だけど大きな魅力を秘めたクルマ

公開 : 2025.10.18 11:45

世界屈指の自動車大国である米国。その長い歴史の中で数多くのクルマが生まれ、そして忘れ去られていきました。この記事では「もっと愛されて然るべき」不運な米国車を40台ピックアップし、その魅力をお伝えします。

スタッツ・ブラックホーク

スタッツ・ブラックホーク(1971年登場)は、ネオクラシックデザインの中でも最も豪華で過激な例の1つだった。デザインへの賛否はさておき、ブラックホークは贅を極めた仕様で、車内には24金メッキのトリム、ミンクのカーペット、酒類収納庫が備わっている。

著名な所有者は数多く、エルヴィス・プレスリー、ルシル・ボール、エルトン・ジョンらが名を連ねる。しかし、ニッチな市場を狙ったこと、そして世界的にもスタッツの知名度が高くなかったことから、徐々に人々の記憶から薄れていった。

スタッツ・ブラックホーク
スタッツ・ブラックホーク

シボレー・シェベル・ラグナ

ラグナは3代目シェベルの中でもごく少数しか生産されず、今日では非常に希少な存在である。大きな特徴の1つはウレタン製フロントエンドで、これにより見た目を損ねる70年代の角張ったバンパーを装着せずに、安全基準を満たすことができた。

ラグナは1973年の発売当初、高級感と優れた性能により好評を得た。245psを発生する7.4L V8エンジンの力を借りて、NASCARで勝利を収めたドライバーも数名いる。

シボレー・シェベル・ラグナ
シボレー・シェベル・ラグナ

オールズモビル・オメガ

シボレー・ノヴァを覚えている人は多いが、その高級版であるオールズモビル・オメガを覚えている人は少ないだろう。1973年から1984年まで生産されたオメガには、クーペ、セダン、ハッチバックのボディタイプが用意されていた。

初代と2代目のオメガは、ノヴァの優れた要素をすべて継承し、標準装備のラジアルタイヤやフロントディスクブレーキに加え、オールズモビル独自の改良が施されていた。例えば、トレードマークであるオールズモビルのウォーターフォールグリルや、内装の木目調トリムが高級感を演出している。しかし、3代目オメガは不評で、度重なるリコールの後、人々の記憶から消えていった。

オールズモビル・オメガ
オールズモビル・オメガ

写真:1975年式オメガ・サロン

フォード・エリート

エリートは元々グラン・トリノの最上級グレードだったが、単一のモデルとして独立後、わずか2年間のみ生産された。1974年から1976年にかけて、フォードは急成長中のパーソナルラグジュアリーカー市場にエリートを投入し、シェア獲得を試みた。

充実した標準装備に加え、個性的なスタイリングやオペラウィンドウといった独自のデザイン要素を備えている。しかし残念ながら、70年代半ばにはパーソナルラグジュアリーカー市場は飽和状態に達しており、エリートはビュイック・エレクトラやオールズモビル98といったライバル車ほどの人気を得られなかった。短い生産期間も相まって、いつの間にか忘れ去られてしまった。

フォード・エリート
フォード・エリート

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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