歴史に埋もれた米国車 40選(後編) 地味だけど大きな魅力を秘めたクルマ
公開 : 2025.10.18 11:45
マーキュリー・グランドモナーク・ギア
高級セダンのマーキュリー・モナークの最上級グレードであるギアは、コンパクトな車体に快適装備を満載し、大型車とラグジュアリーを結びつける長年の米国車のイメージを覆した。フォード幹部の60%が自家用車として選び、ヘンリー・フォード2世もその1人であった。
グランドモナーク・ギアはわずか2年間しか生産されず、その後はバッジエンジニアリングによりリンカーン・ヴェルサイユとして販売された。マーキュリー版とは異なり、ヴェルサイユは大きな論争を呼び、評価も低く、グランドモナーク・ギアの記憶を曇らせてしまった。

クライスラー・コルドバ
クライスラー・コルドバは、メキシコ出身の俳優リカルド・モンタルバンが「柔らかなコリントレザー」と謳ったテレビCMで有名になった。このモンタルバンの魅惑的な英語発音はその後数年間、多くの人々に真似されたが、クルマ自体は当時成功したにもかかわらず、今ではあまり記憶されていない。
コルドバはパーソナルラグジュアリーカーとして1975年から1983年まで生産され、贅沢なコリントレザーに加え、オペラウィンドウや長くスタイリッシュなボンネットを特徴としていた。ボンネットの下にはV8エンジンと滑らかな変速のオートマティック・トランスミッションが搭載されている。コルドバは70年代中盤から80年代にかけての他の米国車と同様、見過ごされがちな存在だ。当時の米国車は大きすぎて燃費が悪く、作りもあまり良くないという評判だったからだ。それでもコルドバはもっと評価されるべきだった。

ポンティアック・フェニックス
1977年に登場したフェニックスは、スタイル、信頼性、快適性をうまく融合させたモデルだった。少なくとも初代フェニックス(ポンティアック・ベンチュラをベース)はそうだった。140psのLG3 V8エンジンをはじめとする強力なエンジンラインナップも用意された。
しかし、2代目モデルは度重なるリコールに見舞われ、残念ながらフェニックスの評価を傷つけることになった。発売から5年後にグランダムに取って代わられた。

クライスラーによるインペリアル
長い休止期間を経て、1980年に最上級ブランド『インペリアル』が復活した。今回はクライスラーの名を冠さず、新たな10年に向けたコンパクトなパーソナルラグジュアリーカーとして登場。豪華な装備と、クラシックなロールス・ロイスを思わせる特徴的なバスルバックスタイルを備えている。
インペリアルはフランク・シナトラをイメージキャラクターに起用し、彼のイニシャルを冠した特別仕様『fs』も用意された。優れたクルマだったが、経済不況とガソリン価格高騰の真っ只中という最悪のタイミングで発売された。インペリアルの生産は1980年から1983年までしか続かなかった。



























