2017年:テスラモデル3

テスラの物語は静かに始まった。メディアなどがよく使うテストコースをロードスターのプロトタイプが疾走する姿は、当時珍妙なものとして見られていた。その後、信頼性を高めたモデルSが登場し、さらにガルウィングドアのモデルXが続いた。それでもテスラは依然として自動車産業の端っこに留まっていた。

そんな状況を変えたのはモデル3だ。大量生産の方法を確立したテスラが、ついに普及向けのクルマを生み出したのだ。

2017年:テスラ・モデル3
2017年:テスラ・モデル3

ディーゼルエンジンの不正問題が発覚した一部のメーカーは苦境に立たされていた。そんな中、テスラは清廉潔白なシリコンバレーのスタートアップとして評判を築き、当時それほど有名ではなかったカリスマ的リーダーを擁し、急速充電ネットワークのスーパーチャージャーへの投資によって競争力を高めた。モデル3の成功は必然だった。

2018年から2020年にかけては世界一のEV販売台数を記録したが、その後王座をモデルYに譲った。紆余曲折あったものの、EVの普及を牽引したモデル3は、今世紀を代表する重要なクルマの1つとして歴史に名を残すだろう。

2018年:ジャガーIペイス

今のジャガーが再び「大胆な新時代」の幕開けを迎えようとしているとは、にわかには信じがたい。何十年ぶりとなる異色で革新的な新型車Iペイスの発売が、まだ最近のことのように感じられるからだ。

初公開から8年経った今でも、Iペイスのスペックは特に時代遅れには感じられない。公称航続距離約480km、100kWの急速充電対応、最高出力400ps、0-100km/h加速5.0秒未満という性能は、今日の主流のEVと比べても遜色ない。

2018年:ジャガーIペイス
2018年:ジャガーIペイス

EVが退屈な妥協の産物ではなく、魅力的で高性能であることを証明する決定的なモデルであった。当時の米国の同世代車とは異なり、ガルウィングドアや「おならモード」といった派手な仕掛けでアーリーアダプターを惹きつけることはなかった。

むしろIペイスは、EVであるということ自体が付加価値となる、上品なプレミアムSUVだ。車内は開放感がある豪華な造りで、キャブフォワードの印象的なシルエットは格式を感じさせ、同クラスのライバルをはるかに凌ぐ魅力的な走りを誇った。ジャガーは競合他社の一歩先を行っていたのだ。この成功をもっと早く、長く継続できていれば、今まさに訪れる「大胆な新時代」を必要とせずに済んだかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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