名車と振り返るアルファ・ロメオの歴史(後編) 独創的なデザインと甘美なハンドリング

公開 : 2025.11.08 11:45

アルファ・ロメオはカーマニアに最も愛されるイタリアンブランドの1つであり、誇り高く優雅なスタイリングと高い走行性能で知られています。今回はそんなアルファ・ロメオの歴史を、象徴的なモデルとともに振り返ります。

モントリオール

アルファ・ロメオが1967年万国博覧会で名前のないコンセプトカーを展示した際、一般市民は開催都市にちなみ『モントリオール』と呼んだ。アルファ・ロメオはこの名称を量産バージョンに採用したが、コンセプトカーとは多くの点で異なっていた。

例えば、コンセプトの1.6L直列4気筒エンジンは廃止され、33ストラダーレに搭載されていたV8エンジンの大型(2.6L)かつデチューン(200ps)版が採用された。モントリオールは1970年から1977年まで生産されたが、高価格も一因となり、売れ行きは振るわなかった。

モントリオール
モントリオール

アルファスッド

アルファスッドという名称は、南部の貧しい地域(「スッド」はイタリア語で「南」を意味する)の製造業支援と雇用促進を目指したイタリア政府の政策に由来する。この革新的な小型車は、アルファ・ロメオ初の前輪駆動車として1972年からナポリ近郊の工場で生産されたが、残念ながら錆びやすいという悪評が立ってしまった。

幸いなことに、水平対向エンジンによって全体の重心が低く抑えられたおかげで、優れたハンドリング性能でも名を馳せるようになった。

アルファスッド
アルファスッド

アルフェッタ、GTVジュリエッタ

アルファスッドと同じ年に発売されたアルフェッタは、1950年代初頭のグランプリカー、159アルフェッタにちなんでこのように名付けられた。特筆すべきは、エンジンを前方に、トランスミッションを後方に配置し、可能な限り均等な重量配分を目指した点だ。

このアルフェッタのセダンをベースに、GTおよびGTV(写真)のクーペが登場。上級モデルには一般的な4気筒ではなく最大3.0LのV6エンジンが搭載された。さらに別の派生モデルとして、1977年から1965年まで生産された2代目ジュリエッタがある。

アルフェッタ、GTV、ジュリエッタ
アルフェッタ、GTV、ジュリエッタ

33

アルファスッドの後継車は33だ。先代モデルと同様、1.2~1.7Lの水平対向4気筒エンジンが用意されたほか、VMモトーリ製の1.3L直列3気筒ディーゼルエンジンも選択可能だった。

アルファスッドほどの人気は得られなかったが、33は1983年から1995年まで12年間生産が続いた。

33
33

164

164の開発は、アルファ・ロメオがまだ産業復興公社の管理下にあった頃に始まったが、販売開始はフィアットによる買収後となった。

ピニンファリーナによるウェッジシェイプを特徴とする164は、タイプ4プラットフォームをベースにした4車種のうちの1つであり、他にはフィアット・クロマ、ランチア・テーマサーブ9000がある。164は1988年に市場投入され、9年後に生産終了となった。米国での販売は1995年に終了し、その後アルファ・ロメオは20年間にわたり北米市場から身を引いていた。

164
164

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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