有名な「失敗作」の実態とは? 大ヒットしたのに評価が低い不運なクルマ 12選

公開 : 2025.11.26 11:45

フォード・ピント

ピントの安全性に関する疑問から、フォード自体の評判も深刻な打撃を受けた。特に後方から追突されると炎上する傾向があったのだ。

これはメーカーを倒産に追い込む可能性のある問題だ。しかしピントの場合、そうはならなかった。

フォード・ピント
フォード・ピント

悪評が広まったにもかかわらず、ピントの人気は依然として高く、フォード初の米国向けサブコンパクトカーとして注目を集めた。1970年から1980年までの総生産台数は310万台を超え、安全性の懸念が広く認知され始めた1974年にも50万台を突破した。

その後すぐに販売は落ち込んだが、生産終了となるまで年間約20万台のペースで売れ続けた。

ラーダ・クラシック

ラーダ・クラシックは正式名称ではなく、1970年から2012年までロシアのアフトワズが生産したフィアット124ベースのセダンおよびステーションワゴンに対する総称である。

ロシアの道路状況に適した性能を持っていたため人気を博し、英国を含む他の地域へも輸出された。英国では「笑いの種」と見なされることが多かったが、安価で新車を購入できることから、他人の評価を気にしない人々には支持された。

ラーダ・クラシック
ラーダ・クラシック

このラーダについてはいろいろな意見があるかもしれないが、多くの買い手がついたことは事実だ。アフトワズの発表によると、累計生産台数は約1800万台に達するという。販売期間が長かったことが大きな要因だが、この数字が正しければ、ビートルズ解散からテイラー・スウィフトのキャリア中期まで、年間平均40万台以上を生産し続けた計算になる。こんな実績を前に、メーカーが多少の嘲笑を甘受しないわけがない。

モーリス・マリーナ

マリーナは「史上最悪のクルマ」と安易に評されるクルマの1つだ。自動車史に刻まれた数々の惨状を考えれば大げさな表現だが、1970年代のブリティッシュ・レイランド製中型車が傑作とは程遠かったのは事実である。

旧式の技術で急造されたため、発売後もさらなる開発を要した。生産終了の数年前には、競合車種と比べて非常に時代遅れと見なされていた。そういった意味では、失敗作となるかもしれない。

モーリス・マリーナ
モーリス・マリーナ

マリーナは初期のライバルであるフォード・コルティナほどの購買意欲を喚起することはなかったが、一時は英国国内でトップクラスの販売台数を記録し、他の地域でもそこそこの成功を収めた。

生産台数は110万台以上と推定され、その約40%が輸出市場向けだった。今日ではオースチン・アレグロよりもさらにひどいクルマと見なされるかもしれないが、ほぼ同期間にアレグロの約2倍の販売台数を達成しているのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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