有名な「失敗作」の実態とは? 大ヒットしたのに評価が低い不運なクルマ 12選

公開 : 2025.11.26 11:45

シボレー・コルヴェア

初代コルヴェアはリアエンジン配置とスイングアクスル式リアサスペンションで有名だ。この設計は、フォルクスワーゲンビートルを所有した経験のない人にとっては扱いが難しいものだった。

社会活動家ラルフ・ネーダー氏(1934年生まれ)は、ベストセラー書籍『どんなスピードでも自動車は危険だ(Unsafe At Any Speed)』でこの設計を強く批判した。この悪評がコルヴェアの成功を阻むと思われたが、現実はそう単純ではなかった。

シボレー・コルヴェア
シボレー・コルヴェア

実際、コルヴェアは1960年代に180万台以上が販売された。その「独特な」ハンドリング特性は、購入意欲を削ぐには至らなかったようだ。さらに、ネーダー氏の著書が刊行された1965年末には、従来型のサスペンションを採用した改良モデルがすでに1年以上前から販売されていた。

1966年に販売台数は落ち込み、その後回復することはなかったが、これは必ずしもネーダー氏のせいではない。他の要因としては、親会社GMによるマーケティング活動の縮小、モデルの旧式化、そして近代的なフォードマスタングの人気急上昇などが挙げられる。

クライスラーPTクルーザー

2000年に登場したPTクルーザーは、クライスラー・ネオンをベースにしているが、より広い車内空間と、ブライアン・ネスビット氏(1969年生まれ)が考案した1930年代風のレトロなスタイリングを特徴とする。

当初は好評を博し、数々の賞を受賞した。10年後に生産が終了した時点で、依然として熱心なファンは存在したが、他の人々はすでに飽き始めていた。特に批判を浴びたのはカブリオレ版で、そのボディの揺れはかつての1960年式モーリス・マイナーのコンバーチブルに例えられた。

クライスラーPTクルーザー
クライスラーPTクルーザー

好きではなくなった、あるいは最初から好きではなかった人の意見はさておき、PTクルーザーは10年の生涯において相応の成功を収めている。

米国だけでなく欧州でも好評で、総販売台数は130万台を超えた。年間平均で約13万台となる。しかし、2007年以降、このレトロな外観が単に古臭く見え始めたことで、世間の関心が薄れたのである。

フォード・エスコート(5代目)

欧州ではフォードの人気は堅調で、ごく最近まで半世紀近く市場をリードしていた。エスコートの旧モデルも1980年代を通して販売ランキングを席巻していた。

1990年に新型エスコートが登場したが、メディアからは即座に「味気ないデザイン」、「走行性能が低い」と批判された。この名車の栄光は終わりを迎えたのだろうか? 開発費は10億ポンド(約2000億円)もかかったらしいが、一体どこへ使われたのやら……。

フォード・エスコート(5代目)
フォード・エスコート(5代目)

フォードはこうした悪評に素早く対応し、わずか2年で全面改良版を販売店に並べた。しかし、登録台数に関してはほとんど問題なかったようだ。

英国では、エスコートは確かに1990年と1991年にフィエスタに首位を明け渡したが、翌年にはトップの座を奪還した。この回復は改良版の影響ではない。新型が発売されたのは9月だったからだ。どうやら英国の消費者は、どんな状態のエスコートでも欲しがるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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